給与額は、進路を決める重要なファクターです。
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以下は、とあるニッチ企業に勤める一研究職の懐事情です。
いったいいくらになっているのでしょうか。
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2017年7月度のお給料です。
差引支給額:17万2021円
月平均16万~17万といったところでしょうか。
「差し引き支給額」とは
いわゆる「手取り」というやつです。
総支給額(基本給+残業代+手当)から、控除額(社会保険料, 企業年金, 労働組合費...)を引いた、実際に自分の手元に入るお金の総額です。
給与の内訳
総支給額の内訳
・基準内賃金:236,000円
・早出残業手当:時価(今回は4000円)
・カイゼン報奨金:1200円
(カイゼン案を提出するともらえます。一案件につき200円~1000円です)
成果報酬はありません。
いかにも昔ながらの日本企業です(正直、ちょっと不満...笑)
控除額の内訳
・健康保険料:12,000円
・厚生年金:25,000円
・雇用保険:750円
・所得税:5100円
・住民税:17,500円
・労働組合費+労働組合関係費:10,000円
労働組合に計10,000円も持っていかれています。
当社はかなり高めの方。
相場では、労働組合がある会社は約3000円程度引かれるそうです。
ちなみに、四季報などに掲載の「給与額」は、すべて総支給額になっています。
控除額は会社によってまちまちなため、総支給額が多くても貧乏というパターンも珍しくありません。
賞与について
月給の2.5ヶ月分です。
6月と12月にそれぞれ支給されます。
一回の支給当たり、約55万円程度でしょうか。
厚生年金やその他税金でゴッソリ持っていかれますので、手元に残るのは45万円程度です。
昇給制度について
(ほぼ)完全な年功序列です。
入社時の学歴に応じて所有ポイントが決まり、このポイントにより職級が決まります。
1年ごとにポイントが1つずつ貯まっていき、ポイントがある値を超えたら職級がランクアップする仕組みです。
1ランクアップすると、約3~4万円の昇給が見込まれます。
私は後2年で1ランクアップの予定になっています。
最初に(ほぼ)と前置きをつけたのは、たま~に年2ポイント貰う人がいるからです。
年2ポイント貰うには、上司の人事評価がオールAで無ければいけません。
この人事評価は、研究能力のみならず、リーダーシップ・助け合いの姿勢など様々な観点が採点対象となります。
私は一度、この人事評価のシートを見せてもらったことがあります。
他業種と比べてしまうと...
正直、同年代の他の職業の方々に比べると、私の給料は低い方だと思います。
なお、先月の残業は、確か2時間程度だったと思います。
残業できない(するほど仕事がない≒できない)ので、手取りが余計低めになっているのですね。
この給与額で生活は成り立つのか?
私は余裕です。
毎月7万円程度、コンスタントに貯金できています。
田舎暮らしというのが最大の理由です。
研究所は概して土地の安い田舎にあります。
無駄な遊びにお金を使うことがありませんし、地元の食材は安価で実に美味しい。
「都会の喧噪にまみれて暮らしたくない」
「お金はある程度入ればいいので、のんびり田舎で暮らしたい」
そういったスローライフな方々にこそ、研究職をオススメします。
ガツガツしたキャリアプランだけが、目指すべきものではないのです。
しかしながら追記しておきますと...
遊び好きな人や、お金のかかる趣味を持っている人にとっては、このお給料ではちょっとしんどいかもしれません。
同じ職場で一つ下の後輩は、合コン好き・ゴルフ好き・車持ちなのですが、毎月末の預金残高が10000円を切ることがザラらしいです。
また、旅行好きな二つ下の後輩も、「月2回旅行に行ったらお金が無くて~」とよく愚痴っています。
.......
働き甲斐は給与額だけで決まるものでは無い
確かに、同年代と比べて手取りは低いです。
しかし、私は非常に満足した生活を送れています。
ほぼ毎日定時で帰れ、アフター5は好きな勉強と読書に費やすことができます。
職場は極めてストレスレス。
ニッチ分野特有の、緩い雰囲気があります。
加えて、研究職というのは、短期間では会社に利益をもたらさない存在。
現に、私は入社3年目になりますが、会社の利益に直接貢献できたことは、まだありません。
そんな「穀潰し」(?)の自分に、20万弱ものお金を気前よく払ってくれる。
この現実には、感謝してもしきれないな、というのが今の本音です。
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コメント
コメント一覧 (7)
たまたま、高圧ガス関係での記事を目にし、懐かしくなってコメント残します。
私は5年前山口におり、あなたと同じ会社の研究開発を入社5年目で退職しました。
高圧ガス甲種化学も広島で検定を受け、取得しました。
辞めた年の給与は、手取り26万(家賃補助込)×賞与手取り65×2=440万程度あったと記憶しております。
私はあなたと似たような大学の修士卒で、退職後、大学の技士をやりながら社会人ドクターを取り、現在関東の私大で特任助教をやっております。
給与は額面で400万。任期は3年です。
次の職が見つかりません。かなりお先真っ暗です。
会社員時代は、山口大工学部で社会人ドクターができないか相談したところ、上司からダメと言われたため、思い切って退職しました。
グダグダ書いて何が言いたいかというと、何かあったとしても「会社を辞めない方が良い」です。
いばらの道です。
おせっかいかと思いましたが、ブログを読んでいたら研究にとても真摯に向き合っており、良い意味で強い研究者志向が見られたため、つい書き込みました。
これからのご活躍をお祈り申し上げます。
ご忠告、ありがとうございます。
私、修士卒というのがコンプレックスでして、会社を出て博士号を取ろうか悩んでいました。
(会社の留学制度では修士号までしか取れないので)
確かに、会社を飛び出して博士号を取ることで、得るものは大きいです。
しかしながら、会社を出ることで失うモノの大きさを、ヤマグッチーさんのコメントで再認識できました。
また、会社に残っても、やり方次第では博士号に匹敵するモノを掴めるんじゃないか、と思い直すこともできました。
そして、私と同じ会社だったのですね!
機会があれば、ぜひお会いしたいものです。
今後も当ブログをよろしくお願い致します。
まだまだ若輩者・未熟者なので、先輩方の目線に少しでも近づけるよう、精進致します。
今大学4年生のひろしと申します。
院進学を決めたのですが、現在進路は研究職とIT系で迷っており、研究をすすめる中で決めていこうと思っています。
しかし、化学は好きなのですが、田舎暮らしというのがとてもネックです。都会が好きというよりかは、お恥ずかしながら、出会いが無いことが嫌です。当方モテるタイプではないのですが、いままで出会いの多さでカバーしてきました。ですので田舎勤務の理系職となると、男ばかりで全く出会いが無い、と勝手なイメージで思っています。また、出会いだけでなく、これからどんどん田舎は高年齢化が進むと思うので、同年代の友達も出来にくいように思えます。者筆者様は、ご結婚などなされているのでしょうか?同年代の友達と遊ぶより、読書などが趣味でないと田舎勤務は厳しいでしょうか?
また祖父の家(山の中)によく行くのですが、田舎だと、意外と外食費が高い、車のマナーなどとても悪い、ヤンキーが多い、遊ぶ場所がない、等という悪いイメージもあります。
理系の先輩もみんな田舎に飛ばされているので、やはり進路をITに引っ張られてしまいます。
こんな私はやはり、田舎勤務は剝いていないのでしょうか?それとも、そこまで悪くはないのでしょうか。
大変勝手なのですが、ぜひともお返事お待ちしています。
ひろしさんの投稿を拝見したところ、田舎に対する漠然としたイメージを鮮明にすることが解決の糸口だと感じたので、私が現在勤務する田舎の特徴を挙げていきます。
・人口3万人程度の市
・都市圏までは電車で1時間弱、往復2000円弱
・出会いは自ら探さなければ皆無(ただし街コンなどは月2~3回開催されている)
・自社や他社の寮住まいの方々が多いので、同世代の友人をつくる機会は多い
・アウトドア派でも田舎は楽しめる
・外食費は自炊すれば20000円/月を切れる、個人経営の飲食店の価格は都会と同一、コンビニ・チェーン店の進出も盛ん
・車のマナーは事業所周辺は比較的安全(教育が行き届いているため)、都会の方が悪い印象
・ヤンキーはほぼ見かけない。
・遊ぶ場所は確かにない。皆都市圏へ1時間かけて遊びに行く
こんなところでしょうか。
田舎適性は確かに存在します。
私の1つ下の後輩は都会遊びが好きで、3年間田舎で頑張ったがガマンしきれず都会の営業所へ転属しました。
住む場所で決めるのも確かに良いと思います。
しかし、それは自分のコアと結びつきが深い「故郷」関連であるべきだと考えています。
ひろしさんの場合、一度田舎暮らしを経験してみて、都会と田舎とどちらが自分の性に合っているのか確かめてみても良いのではないでしょうか。
腰を据えて住んでみると、田舎も案外良いモノだったりします。
逆に都会にだけ営業所をもつ理系企業だと、大企業になるので、1,そもそも入りにくい 2,入ったとしても他社との競争が激しい などというデメリットがあるのでしょうか?
結論から言いますと、都会に立地しているからといって入りにくいことはありません。
まず、都会に営業所を持つ企業=大企業とは限りません。
IT系など情報産業はスピードが命なので、たとえスタートアップ企業でも情報が1秒でも速く手に入る大都市圏にあります。
また、最近の理系企業はニッチ分野を攻める傾向が強いので、他社との競争はさほど激しくないです。
そして、「どこで暮らすか」を軸に就活する方は少ないので、必ずしも競争率が高いわけでもありません。
研究室生活のスキマであなたのブログを全て読破しつつ、将来を考えようと思います。ありがとうございました!