化学メーカーの研究職にとって避けては通れない資格試験の一つに「高圧ガス製造責任者試験」があります。
資格試験には珍しい筆記形式であり、難易度が非常に高いです。
私は幸いにも、この試験の「検定」に合格しました。
(後は難易度の低い試験を残すのみです。)
この試験を(私と同じく不運にも)受けることになってしまった方々の参考になればと思い、私の合格体験記を書き連ねました。
よろしければ、一つのデータとして参考にしてください。
※続きはこちら
高圧ガス甲種化学の合格体験記②。検定合格に向けて私の取った戦略
高圧ガス甲種化学の合格体験記②。検定合格に向けて私の取った戦略
資格試験には珍しい筆記形式であり、難易度が非常に高いです。
私は幸いにも、この試験の「検定」に合格しました。
(後は難易度の低い試験を残すのみです。)
この試験を(私と同じく不運にも)受けることになってしまった方々の参考になればと思い、私の合格体験記を書き連ねました。
よろしければ、一つのデータとして参考にしてください。
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高圧ガス甲種化学の合格体験記②。検定合格に向けて私の取った戦略
高圧ガス甲種化学とは
正式名称は「高圧ガス製造保安責任者」の「甲種化学責任者」の試験となります。
国家資格試験です。
この資格を持っていると、工場・事業所などの製造所で高圧ガスを製造したり、消費したり、販売したりすることができるようになります。
高圧ガスに関する規則は厳重に定められており、ある程度以上の規模の製造所が高圧ガスを扱うには、この甲種化学責任者の資格を持っている人が職場にいないといけないことになっています。
高圧ガスを扱う企業では、この資格の保有者の確保が必須課題です。
知り合いのコンサルタントに聞いた話では、この資格の保有者が慢性的に不足しているそうです。
特に人材が不足しがちな中小メーカーで不足が顕著であるようです。
求人票にこの資格を書いておけば、3日後には採用の電話がジャンジャン掛かってくると聞きました。
なので、この資格を取っておけば、とりあえず食いっぱぐれはしないだろうと言えます。
ちなみに私は、会社から「受けろ」と言われてこの資格を受けました。
個人で受ける際にやらなければいけない手続きなどは経験しておりませんので、この合格体験記からは割愛させていただきます。
試験概要
試験科目
①学識 ②保安管理技術 ③法令 の3科目があります。
詳しくは後で説明します。
国試と検定
この試験に独特のスタイルです。
年に1回ある「国家試験」(以下『国試』と略しますね)に合格すれば、晴れて有資格者となれます。
ただ、この「国試」は非常に難しいことで有名です。
参考までに、H28年度の国試合格率は20.5%でした。
(これでもかなり高い方らしく、通常は10%~15%ほどの合格率らしいです)。
国試の負担を和らげるために「検定」が救済措置として用意されています。
検定は、国試の半年前に実施されます。
検定も試験を受けることになりますが、その難易度は国試よりもはるかに低いです。
計3つの試験科目のうち、検定があるのは「学識」「保安管理」の2科目となっています。
合格基準は下記の通りです。
学識6割+保安管理6割
決して「学識と保安管理の合計点数が6割以上」ではありません。
間違えやすいので、注意してください。
(ちなみに私の同期はこの点を間違えてしまい、保安管理は満点だったのに学識で足切りをくらって不合格になりました…)
検定に合格すれば、11月の国試は法令のみを受けることになります。
検定に不合格であれば、11月の国試は学識・保安管理・法令の3科目を受けなければいけません。
3科目を一度に勉強することは、想像以上の負担です。
時間の無い社会人であれば特にです。
この状況が、国試受験者の合格率が際立って低い原因となっています。
ちなみに、H28年土の検定合格者(検定に合格して、法令1科目のみを国試で受けた方)の合格率は、なんと91.5%でした。
国試3科目受験者の合格率が20%なのを鑑みると、検定に合格しておくことが試験攻略のカギと言えます。
出題の形式
国試も検定も、出題の形式は同じです。
・学識は記述式
・保安管理はマークシート
・法令もマークシート
学識の出題形式
学識の問題では、5~6個の大問があり、各大問は3~5つの小問で構成されています。
大まかな傾向としては、最初の1~2個の小問は穴埋め式、残りは記述式になっています。
この記述式というのがやっかいで、まっさらな回答欄に何を書いても良いというものです。
(大学入試で例えるならば、京都大学の化学が最適です)
保安管理の出題形式
5択のマークシート形式です。
概して下記のような出題の仕方です。
「次のイ・ロ・ハ・ニの記述のうち、正しいものはどれか」
(1)イ・ロ (2)ロ・ハ (3)ハ・ニ (4)ハ・ニ・ホ (5)イ・ロ・ハ・ホ
複数の記述が組み合わせてある中から、どれも正しいものだけを選び出すので、所々知識に穴があっても回答を導きやすい形式になっています。
法令の出題形式
5択のマークシート形式ですが、保安管理と比べて記述が少なくなっています。
「次のイ・ロ・ハの記述のうち、正しいものはどれか」
(1)イ (2)ロ (3)ハ (4)イ、ロ (5)ロ、ハ
ヒントとなる記述が少ないので、保安管理と比べて難易度は上がっています。
知識に一つでも穴があれば、回答を絞り込むことが難しくなります。
試験日程
検定(学識、保安管理)が5月下旬~6月上旬
国試が11月上旬です。
講習・検定・国試のタイムスケジュール
図を貼っておきます。
注目してほしいのが、検定もしくは国試の前に開かれる「講習」です。
講習は、北から宮城、東京、新潟、愛知、大阪、広島、愛媛、福岡の8カ所で開かれます。
この講習では、講師の方々が「検定に出る範囲」を教えてくれる場合があります。
出る範囲をどこまで教えてくれるかは、開催地と講師の質によりまちまちです。
ちなみに、私が講習を受けた広島地区では、保安管理についてはバッチリ教えてくれました。
一方、学識は講師の質があまり良くなく(失礼な物言いですみません…)、結局すべての範囲を自学自習して望むことになりました(結果的にこの方法が一番良かったので、結果オーライです。)
今後の記事に「講習で私が聞いた出題予想範囲」をアップしますので、詳しくはそちらをご覧ください!
実際に問題を解いてみた難易度
学識の難易度
検定・国試ともに、大学入試の化学レベルの範囲内です。
ただ、大学入試といっても、センターレベル~難関国公立大レベルまで幅広いものです。
検定は、概して基礎問題集レベルでした。
高校の授業で配られる問題集(『セミナー化学』とか『化学基礎』とか)と同程度と思ってもらってよいでしょう。
設問で誘導がかけられている場合が多いので、原理原則さえ押さえておけば解けるパターンが殆どです。
過去問を解いてみても、H24年度あたりまでは難問が多かった印象ですが、近年は易化傾向にあります。
これに対して国試は、難関大学の出題問題と同レベルの印象を受けました。
扱う知識も大学の熱力学のものが多く、初めて解いたときは唖然としました。
検定とは別次元の難しさと考えてください。
『化学I,IIの重要問題集』より難しく、難関国公立大よりは若干難易度は落ちる。
そんな手応えでした。
例えば、「フガシティーをその定義から求めよ」という問題で、化学ポテンシャルμから立式して導出する解が求められていました。
丸暗記では通用せず、100ページを優に超える学識の範囲すべてを一行一行しっかりと理解しなければならない。
これは私にはムリだと直感しました(笑)
保安管理の難易度
ざっと覚えておけば解けます。
上でも述べましたが、所々知識に抜け漏れがあっても何とか解けるように問題が設計されているからです。
覚え方の難易度は、センター生物レベルと思ってもらって差し支えないでしょう。
講習で「出るところ」を聞き逃さなければ、合格間違いなしでしょう。
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次回は、私が高圧ガス甲種化学の合格に向けてどのような戦略を立てたのか、具体的にどのようなタイムスケジュール・勉強のやり方をとったのか、を紹介いたします。
高圧ガス甲種化学の合格体験記②。検定合格に向けて私の取った戦略
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