研究テーマを魅力あるものに高めるには、日々アイデアを出すことが大切です。
アイデアの出し方・活かし方のコツを知っておくことは、研究職にとって死活問題と言えます。

そこで今回は、研究職に応用できそうなアイデアワークのビジネス書を紹介します。

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アイデアに関する私の仮説
私は「研究者とデザイナー・芸術家は似ているんじゃないか」とかねてより思っていました。
 ・ともに「ゼロから1を創り出す」職業である 
 ・既存の考え・表現に囚われてはいけない 
 ・地道な積み重ねと発想の飛躍を両立させなければならない 
 ・感性が問われる職業である

これらの点より「デザイナーの仕事術は、研究職にも親和性が高いのではないか」と考えるに至りました。
そこで、デザイナーがいかにアイデアを出すのかについて数冊の本を読んで勉強してみました。

すると予想通り、「ここで言っていることは研究現場では○○に相当するな」とピンとくる本が見つかりました。
中でも、この本に書かれていることは、腑に落ちる点・参考になる点が多くて唸らされました。

今日から始める思考のダイエット
佐野 研二郎
マガジンハウス
2010-03-25



「思考のダイエット」で活かせそうな点3つ

①:自分の指針をキーワード化する 
プロとして「自分だけが作れるモノをきちんと作れているか」と自問するためです。
これにより、自分のスタイルを仕事に反映できているかチェックすることができます。

研究活動では「いかにオリジナリティ=新規性があるか」が求められます。
自分だけのスタイルを築き、維持することがとても重要になってきます。

 ・実験の計画を立てるとき
 ・結果を解釈するとき
 ・報告書をつくるとき

このような日常の各ステップにおいて、自分のスタイルに立ち返ることができれば、オリジナリティの蓄積につながります。
自分の目指す所を一言で表現できるようにしておけば、研究スタイルに味がでてくるでしょう。

ちなみに著者は
 ・シンプル
 ・クリア
 ・ボールド
の3点をキーワードとして掲げています。
ムダをそぎ落としてコミュニケーションの質を向上させるためだそうです。

著者のデザインは、直感に訴える力が強いものが非常に多いです。
これは「キーワードを元にして、自分のスタイルに立ち返り続けた結果」だと感じました。


②:誰も頼んでいない事を進んでやる 

予想外の仕事に積極的に手をつけることで
 
・クリエイティブな筋肉
・予想外の発見を次に繋げる柔軟な姿勢

を養うことができます。

著者はこの本の中で「設計図に色を塗るだけの仕事の仕方ではなく、現場で発見したことをすぐに提案できる瞬発力をつけよう」と表現しています。
なかなかに素敵な表現だと感じました。

私自身、上からやれと言われたことをただこなすだけでは、力がついた実感が全くありませんでした。
そこから「自分なりにできることは無いか」と考えて実行するようになってから、徐々にではあるが力がつく実感を得られました。

 ・放置されていた過去の検討結果を文書にまとめなおすようにした
 ・高分子のモノづくりにつながるよう勉強を自主的に始めた
 ・今までのモノづくりに感じていた疑問点を抽出し、それを解決する新しい実験系を提案した

これらは全て「誰も頼んでいない仕事」でした。
自分なりに考えて仕事をすると、
 ・他人事
から
 ・自分事
に感じることが多くなりました。
守備範囲が広くなり、身の回りの色々なことに改善のアイデアを思いつくようになりました。


③:企画は早い段階で仲間に見せる

自分の中の「思い込み」を壊すことに繋がります。
アイデアの原型を保ちつつより多くの人に受け入れられる「訴求効果の高い企画」にすることができます。
本書の中では「いろいろ修正が入った方が、より客観的になり、骨太で強い作品になる」と表現されています。

研究開発においても、思い込みが進捗を妨げていることが非常に多いです。

 ・やる意味の無い些細な事象に拘ってしまう
 ・本人以外には分からないデータの見せ方になっている
 ・結果が出るはずのない実験を「正しいやり方だ」と信じ込んでしまう

こういった「独りよがりの猪突猛進」から脱するためには、日々のスモールステップで同僚や部下と情報を共有し、こまめにディスカッションすることが大事だと実感しました。


私もかつて、上司に「データの解釈が雑だ」と言われました。
そこで、一週間に2~3回はプロジェクトのメンバーと軽いディスカッションをするようにしました。
すると、彼らの反応から私の落ち度が良く分かりました。

 ・データの見せ方がまずかった
 ・定量方法に間違いがあった

これらを資料に反映させるうち、誰が見ても意味の分かる資料に近づいていきました。
上司にもデータを褒められるまでになりました。

私個人の経験から言っても「企画は早い段階から仲間に見せて、ダメ出しと修正を重ねる」ことは研究活動に大きなプラスになると言えます。


興味をひかれた方は、ぜひ手に取って読んでみてください。
どんな研究にも応用できそうな手法が、あなたを待っています。

今日から始める思考のダイエット
佐野 研二郎
マガジンハウス
2010-03-25