研究者として必須の「物事を深く考える力」はどうやって得られるのか興味があり、購入しました。
本書は、東大の理論物理学教授が長年の経験に基づいたノウハウを書き連ねた気鋭の一冊です。
企業研究のバックグラウンドがあるためか、ノウハウの目的が非常に的確かつ分かりやすく書かれており、スラスラと読み進めることができました。
「ふと生じた好奇心・疑問に正面から向かい合おう」というのが一貫したテーマでした。
「既存のやり方に対するマニュアルは出そろった今、そのマニュアルをいったん壊して作り直していくサイクルに入ってきている」という指摘は、実に的を射ていると思いました。
「課題解決型」のマニュアル人間から脱却して「課題創造型」の人間になるためのヒントが余すところなく書き連ねられており、読了後は興奮を覚えました。
マニュアル型の考え方を直したいと思っている方にオススメの一冊です。
自分なりに編み出した方法を信じ、それを深化させる術を学ぶことができるでしょう。
以下、心に残った場面を抜粋します。
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○頭に浮かんだ好奇心や疑問に対して、そのつど真正面から向かい合う
・心に余裕を持つ
ちょっとした疑問にも向き合えるようにするため
・自分はいつも何かを考えていると自覚する
無意識下から問題のタネを拾い上げ、明確な意識を持って考える
○すぐに認められる成果を出そうとしない
・独自な問題を解くのには時間がかかるが、その分得られるものが大きいと自覚する
・自分で考え出したテーマを追求する
競争にせかされない、じっくり取り組むことができる
オリジナルなことなので満足度も高い、ユニークな成果を生む
・自分なりの方法をどんどん編み出し、深化させる
創造的な仕事になるほど効いてくる
・未開の地へ常に踏み込んでいく
成功体験を捨てる
○情報収集では答えを探さない
・何が分かっていないのか、を明確にするために情報を集める
・論文では「何が明らかにできなかったのか」にも着目する
・原著論文を読んで、先人の思考の躍動に触れる
○情報収集TIPS
・直感力を鍛えるために、情報収集と分析をしっかりやる
・今判断すべき情報に集中するために、余分な情報を捨てていく

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