僕のここ最近の業務は、その多くが営業の支援だ。
具体的には、営業が客先から回収した試験データを技術資料化するのと、製品・市場のバックグラウンドに関する情報収集を行い、PowerPointにまとめて勉強会を開く、というものの2点だ。
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これら2つ「技術資料の整備」「知見の収集と整理」は、後回しにされがちである。
営業側はユーザーワークを通して実践知を吸収できるが、デスクワークに使える時間が短いので普遍的な知見を収集しにくい。
研究側は知見の収集はしやすいが、どんな情報を技術資料化していいか分からないし、営業が知りたいことのニーズも把握しづらい。
なので「技術資料を作りたいが...」「もっと勉強して色んな事学びたいけど...」とまでは思うが、そこでストップしてしまいがちだ。
今回僕が幸運だったのは、発達障害ゆえに文書作業が主体となったことで、こうした潜在ニーズにありつけることができたことだ。
技術資料の作成と勉強会の実施は、前々からやりたいと思っていた。
しかし実験などの実作業があり、なかなか時間と思考の余力を割けなかった。
その障害がなくなった今、目下は技術資料を作っているが、これがとても楽しい。
僕が感じる一番楽しいところは「自分なりの仮説を併記できる」という点だ。
僕たちがユーザーワークする客先には、専門家も同席する場合がある。
展示会だったり学会報告だったり、そういうPR会場にも専門家はウヨウヨしているし、お客さん自体が高度な専門知識を有している場合もある。
なので製品を売り込む際も「こんな効果がありますよ」だけではなく、「△△という効果が出ました。そのメカニズムは○○と思われます」というように、効果の背後に潜む作用機序をある程度明確に示す必要がある。
「ここで示す"メカニズム"は、必ずしも自前の実験ですべて証明する必要はない」というのが学びだった。
要は、自前で出した結果をつなぎ合わせる知見を過去の研究報告から抜粋し、妥当性のある仮説を構築する、これがキモだと。
ここで重要なのが「専門家を納得させられるか?」という説得力である。
これに関しては、メカニズムに日々考えを巡らせている研究部門が得意分野であり、営業側は苦手とするところだ。
僕は元来「なぜ?」を考える気質なこともあり、↑のメカニズムを考えるのがとても楽しい。
関連しそうな知見を手当たり次第に調べるうち、それぞれの知見の輪郭がはっきりとし、カチッカチッとハマりあう。
そうして仮説が組みあがったときに、何とも言えない快感を感じるのだ。
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研究だから支援できることがある。
これも、僕が休職→復職を経て学んだことの1つである。
読者の方々も、こういった業務の形があることを知っていただけたら、と思う。
そして職場にその可能性が転がっていないか、探してもらえたら本望である。
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