なぜ僕は、今もなおこの研究所にいるのか。
なぜ僕は、今もってなお、この会社に留まっているのか。
最近思うことが増えたこの疑問。
何度か角度を変えて考えてみて、ようやく納得解に達した気がする。

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僕の中には、ポジティブな思い(想い)と、ネガティブな思い(怨念)があって、その2つそれぞれが独立に僕をここに縛り付けている...現時点での答えはこうなる。

ポジティブな思いの方から見ると、それはこの会社に拾ってもらったというご恩であり、今までお世話になってきたというご恩。
研究所スケールで見ても、至らない僕を見捨てずに(?)何とか拾い上げよう、何とか活用しようと尽力してくださった方々がいる。
仕事でもそれ以外でも、多くの方々に迷惑をかけた。そこで庇ってくれた。心の支えになろうとしてくれた。
そういった「ご恩」を丸ごと変えしたい。
お世話になった方々だけに返すのではなく、この会社全体に恩恵としてお返ししたい。
その方が摂理にかなっている。そう感じているからこの会社に残っている。これがポジティブな面。

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一方でネガティブな思いとは、端的に言うと「僕をズタズタに引き裂きボロボロにした恨みを、ここに留まることで見せつけたい」という、この上なくドロドロとした怨念だ。

僕は入社当時はもっと熱意と熱量に溢れていた。
研究でこの会社の未来を変える。日本の未来を変える。世界の未来も変える。
そう本気で思っていたし、それに取り組もうとしていた。

しかし当時の上司は「協調性がない」ことを殊更に悪く言い、評定に引っかからないよう、僕の研究者魂をあの手この手で矯正した。
そしてその矯正を強制された。
共生するために強勢が矯正を強制し、その結果に嬌声を上げた。なんちて。

その結果生まれたのは、僕の個性と強みを無理くりに抑え込んで、周囲と表面上は最低限上手くやれる程度のコミュニケーション力を持った、何のとりえもない中堅社員だった。
そして自分の個性を否定し抑え込んだ反動がストレスとなり、これまで何とかうまくやれていた適応障害が悪化、一気に休職まで至った。

こうして堕ちた僕に、今の上層部は「僕らしさを発揮して、もっと研究のためになることをしてほしい」と言う。
「○○君ならもっと頑張れるはずだよ」と。

冗談じゃない。
僕の研究者魂を引き裂きズタズタにし、暗い洞穴に押し込めたのはそっちだろと。
今さら「前の僕に戻ってほしい」「研究者として活躍してほしい」なんて、そんな虫のいい話はないだろと。

この恨みを分かってほしい。
この恨みを見せつけたい。
そんな思いが僕の中にあり、それを体現する僕なりの手段が、「この会社に留まり続けて、給与や福利厚生の美味い汁をすする」という姿勢なのだと解釈している。

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要は、僕は恩返しをしたい鶴であり、美味い汁を吸うことで恨みを見せつけようとする寄生虫でもある。
1つ言っておくと、僕の研究開発への熱意はもう、とうの昔に枯れているし、それを無理して生き返らせようとも思っていない。
今の会社にいるのはご恩と恨みからであり、研究開発をしているのも一番コスパがいいからだ。