私は知財部に行く、と前回の記事で書きました。
(記事はこちら

しかし↑から紆余曲折あり、ひとまずは今の勤務場所である研究所で「真人間」になるべく努力しよう...という方針になりました。
(これに関しては、今まで言い出せなかったことを大変申し訳なく思います)

ただし自分一人で努力してみたところで、どうしても今までの行動癖に戻ってしまいます。
私はどうやらADHDとASDの併発型らしく、以前の記事にも書きましたが、一度心療内科で自閉症スペクトラムの診断を受けています。
↑の理由に逃げたくはないですが(実際には逃げたくなる時が大半...)、ADHD/ADSの側面もあり、他人が目につく行動癖に人一倍立ち戻ってしまいやすい。
そんな自己分析をしては進歩のなさに凹み鬱る...という毎日を過ごしています。

また、一度ついた汚名はそうそう雪げるものでもなく、
れっきとした業務の一環で動いているのに、私の行動を目撃した同僚や上司から「何やってたんだ?」と詰問されることもままあります。
これまでの私の素行があるので仕方ないことではあるのですが、勘違いされるとやはり凹みますし心は傷つきます。
相変わらず、家に帰ると自律神経の失調もあり疲弊しきって寝るしかない毎日です。

...まあ、私の近況なんてどうでもいいでしょう。
それよりも読者の皆様のお役に立つのは、表題の「研究開発の昇進に必要なものとは」でしょう。
今回の私の体験から見えてきたものをご紹介します。
(先に言っておきますが、『当たり前すぎて拍子抜け』の事を書きます。お忙しい方は読まれない方が良いでしょう)。
※ 以下は基本JTCでの研究開発で働く上での話とします。

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研究開発の昇進(ここでは管理職への昇進を意味します)に一番必要なものとは何か。
結論から言うと「上司と同僚からの評判が良いこと」です。
どんな成果よりも知識よりも洞察力よりも資格よりも...です。

研究開発における管理職の仕事内容は、他の仕事と大差ありません。
部下の仕事内容を把握し、部下の業務量を調節し、働きやすい環境を整えること。
研究開発なので多少の専門知識も必要ですが、知識がなくとも最悪何とかなるのが実情です。
これは全くの専門外の分野に異動となる研究系の管理職の方々が、おしなべて異動先の部署を(少なくとも見かけ上は)問題なく回している事実からも推測できます。
あとは上層部とのやり取りをサバき、研究部署で実際に受け持つ業務内容を決めること。

これら全てに必要なのは「上司および部下ときちんとコミュニケーションを取ること」です。
自分一人で決められることなど(少なくとも所長≒部長クラスでないと)何もなく、それは部下の業務量等々に関しても全く同じです。
部下が口に出さない(出せない)本音や不満を吸い上げてこそ、一流の管理職です。
そして大抵の仕事内容は、自分で捻りだすものではなく、上層部や他部署から降ってくるものです。
なので上司や他部署とも交流を重ねて深めることこそが、やることを生み出してくれるのです。

確かにプレイヤーとして求められるのは、成果を出す力だったり、知識量・独特の工夫...といったポテンシャルだったりします。
しかし企業という組織の中、特にマネージャーになると、これらよりも圧倒的に必要となるのが「信用・信頼できること」なのです。
優先順位が大きく入れ替わるのです。

そして大事な点ですが、昇進に直接関わるのが上司の採点です。
上司は「こいつなら所員たちと円滑にコミュニケーションを取って、無難に仕事を進めることができるだろう」という評価軸(一種の印象)で点を付けます。
なので上司に↑と思わせられる種マキは必須なのです。

JTCはどこの部署もムラ社会気質があります。
その中でいかにうまく立ち振る舞うかが何よりも問われます。
根柢の原則は加点方式ではなく減点式であることを理解しておきましょう。
そうでないと〇にます。〇されます。

逆に言うと、管理職までの昇進であれば、成果を出す力(個人的能力)に全振りでも到達可能です。
一生プレイヤーでいたいのであれば、あえて↑の全振りを行うのもあり。
全振りは機能美的な美しさを放つ...と感じるのは私だけでしょうか?

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...ここから私が得た教訓は「研究開発であろうと(管理職へ)昇進したいなら、成果や実利よりも周囲の評判を取りに行くべし」でした。

・たとえどんなに目の前の仕事に集中していても、上司や同僚に話しかけられれば自分の仕事は打ち切り笑顔で応じる
・休日も勉強するより上司同僚とゴルフへ行く
・自分の趣味も周囲に合わせられるように最適化していく

...こういった「地道な種まき」をした方がいいし、やるべきだ、と。

↑が自然とできる人にとっては全く苦にならない環境ですが、自分なりのこだわりを持つ人(≒自己を曲げるのが苦痛に感じる人)にとっては物凄いストレスがかかります。
しかもJTCで働く限り、その苦しみはずっと続きます。
この点に関しては、自助努力よりもそもそもの適性が大きく寄与するので、そこを見誤ってはいけません。

ちなみに私はこの数ヶ月間、自分の価値観を矯めつ眇めつ見直し、この道は自分が求めるものではない、という結論(途中解?)に達しました。
やはり私は自分の腕≒知識や技量を高めたい。
また、冒頭で述べた性質上、管理職への道は致命的に合わないなと感じました。
何度も傷つき辛い思いをし、その割に得るものはなくその場で立ち往生するだけの毎日に、心が折れたというのも本音です。
なので今後は、自分なりの幸福の追求≒自身が心の底に封印した価値観の人生への反映、を第一にしようと思っています。
それが管理職への適正と合うようであれば、周囲が自ずと再評価してくれるでしょう。
無理に自分の性根を矯正しようとするのはもうやめです。