この前、休日に読んでいた小説の中で、心の琴線に触れる一説が目に留まった。
主人公は元刑事、熱意溢れる働きぶりだったが、とある事件をきっかけで退職。その後は警備会社に転職したが、刑事への熱を忘れるため、わざと楽な職場環境に流されていくうち、心の芯から腐ってしまった...というものだった。
これを見た僕は「正に今の僕そのままだ」と感じ、何度もその一説を読み返した。

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今の部署は、一言で言うとやることがない。
正確には、上司が仕事を振ってくれることが殆どなく、やる事自体を自分で探して発掘しなければ仕事にあぶれる状況。
しかも、それがずっと続く。
この状況になったのは、今の課長が何でも自分で捌きたい性分なのと(課長一人がいつもてんてこ舞いしており、他の課員は皆して手持無沙汰が多い)、今の部署自体が赤字部署であり、前にいた部署に比べて案件の数が少ない...という要因によるものなのだけど、下の者からすると「とにかく辛い」の一言だ。

何が辛いかというと、大きく分けて以下の2点だ。

① やる事を自分で探し続けなければならないという苦痛
② なかなか認めてもらえない苦痛

①に関しては、まず自分を焚きつけて動き出す必要があるが、僕の場合は必要なエネルギーが尋常ではない。
僕は元来サボリ属性があり、小学生時代は「自分でしんどい事を選んで動く」ということをしなかった。
高校生になって勉強と部活にのめり込んでいったが、それはひとえに「上から与えられる課題をこなすだけで評価される」というある種の楽さに快感を感じたからであって、元来のサボリ癖が治ったわけではなかった。
なので、仕事という本来やりたくないものを自分から掴みに行くという行為を考えると、「やらなくていいならやらんでもいいじゃん」と心の奥では感じてしまい、その本性を理性で抑え込んでスタートを切るのに、途方もない精神エネルギーを使ってしまう。

②に関しては、自分で見つけ出した仕事はそもそも評価されにくい。
上司の想定とは違うところから出てくる声は、おしなべて異端扱いされるのが会社の常であり、
特に当部署では、僕は「新規探索の要員」としてカウントされているため、持ってきた仕事の中身を見る目も厳しくなる。
そして自分で掴んだテーマは、後ろ盾も少なく結果も出にくい。
よしんば結果が出たとしても、それを評価してくれる(喜んでくれる)外部の方はほぼ皆無なため、上司としても評価がしにくい。

その結果、上司が振ってくれた仕事だけを"きちんと"こなす同僚と比べられる。
僕の場合、元々の気質の悪さ(研究者の『悪いところ』だけを抽出した気質)も相まって、周囲と比べられて"デキないやつ" "厄介者" などという低評価を受ける。

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↑の2点の苦しさを何とかしようと思い、今の部署に配属になった当初は自助努力に明け暮れていた。
苦しさ②は苦しさ①に由来するので、まずは①を何とかしようと思い、新規探索を真面目に(あくまで当社比だが)やり続け、都度レポートを作成して上司に提出した。

しかしそのレポートも、上司は一回読んで終わり。
「次は実際に○○したい」と次の手まで書いてあるのに、フォローは皆無だった。
そもそも今の上司は「上層部の顔色を窺い、『赤字の現業を何とかしようと新規探索をやっている』アピールができれば十分」と考えていることが徐々に分かってきて、
僕のやる気は完全に打ち砕かれてしまった。

その他にも色々と提案はしたが、波風立てないを第一とする上司の意向には逆らえず、逆に軽く反感を買ったりしてしまうことも度々だった。
僕の心は、そんな環境の中で擦り切れてしまった。
疲れた。

その結果、「きちんと仕事がしたい」という熱意(ある種の欲)を封じ込め、仕事がない今の楽さに流されるがままにする、という選択を選んだ。
疲れ切った心を癒し、これ以上擦り切れることがないようにと。

しかし、冒頭の小説を読んで、今の自分は芯から腐っていることに気づいた。
仕事が運よく見つかり、いざ実験をする立場になっても、身体が動かない。
PCの前に居座り、身体的に楽な文書作業を選んでしまう。
そして、自分から仕事の種をサーチすることがなくなってしまった。下期に入ってからのレポート数はゼロ。これはまずいと思いつつも、リサーチする内容を考える頭が働かない。

...色々考えて、これは自助努力では限界があると考えるに至った。
とある方からご指摘を受けて初めて気づいたのだが、今の僕は一般のレベルでは「病んでいる」に属するらしい。
元々少ないエネルギーを無理やり絞り出してかき集めるのを繰り返す中で、気持ちの根本が枯れ果ててしまった。そんな実感だ。

エネルギーは絞り出すものではなく、自然と湧き出してくるものであって、その源泉に適した環境に身を置くべきだと今は考える。
適性が99%で、自助努力で何とかなるのは最後の1%なのだと。
環境を変える努力も、するエネルギーが尽き果てた。今の上司を変えられるだけのエネルギーが無い。

こうした事情もあり、僕は知財部への異動を申し出た。
(記事は→こちら
「置かれた場所で咲きなさい」が正しいのか、それとも「咲ける場所を探しなさい」が正しいのか、この身で確かめてみたいと考えている。

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やる事を自分で探し出し続けることに素質がある(エネルギーが無限に湧き出してくる)方には、JTCの研究開発は合った場所だと思う。
ただ、言われたことを忠実にこなす方がやる気が出るタイプには、企業のR&Dは少々キツいかもしれない。