僕が今の課に異動して数ヶ月が経った。
畑違いの仕事をしており知識がゼロ、おまけに類まれなるポンコツの僕でも、ようやく案件を持てるようになり、心底ほっとしている。
案件の中身は色々だが、共通しているのは「新しい用途を思いついてほしい」ということ。
僕は前の課では新規用途探索の任に就いていたから、その経験をこっちでも活かしてほしい...という思惑。とのことだ。
この前は案件の一環で用途探索のコンサルと打ち合わせを行い、既存情報をたくさん仕入れた。
その打ち合わせの直後に上司から聞かれたのは「で、これからどうする?」ということだった。
要は上司もこのような新規用途の探索は初めてで、勘所が分からないとのこと。
なので経験のある僕に、前の課でのやり方を教えてほしい(できればそのやり方をトレースしてこっちの案件も進めてほしい...)ようだった。
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その時、僕は前の課でどうやって仕事を進めたのか、パッと説明することができなかった。
なぜか。
その時は案件を1歩でも前に進めることで精いっぱいで、非常に混沌とした進め方だったからだ。
1日中特許検索をするときもあれば、営業との打ち合わせに奔走する日もあり、はたまた実験室に籠って実験三昧だったり。
秩序だったやり方ではなく、その場その場での最適解を積み重ねていった日々だった。
とてもじゃないが、自分の仕事の段取りを順序だてて頭に入れる余裕などなかった。
だから、一回時間を取って、自分の仕事の進め方を改めて整理する必要があった。
自分が終えた仕事の記憶を掘り出し解きほぐすのは、思った以上に難しかった。
記憶は3ヶ月もすると風化する。
嘘みたいな話だが、あれだけ入れ込んでいた案件も、一回手を離れると(言い方はアレだが)どうでもよくなってしまい、
細かい部分を思い出すのにかなりの時間を要した。
しかし逆に言うと、数ヶ月間のブランクでは何とか細部を思い出すことができた。
その時は、ああ間に合った!と胸をなでおろした。
...前回書いた内容とは矛盾するが、勘所はなかなか忘れない一方で、細部の記憶はすぐに風化してしまう。
特に風化しやすいのが「決定に至ったプロセス」だ。
その決定は誰が下したのか。なぜその試作品を作るに至ったのか。
こうしたプロセスにこそその人の魂は宿るが、忘れやすいがために口伝されにくい。
今回の経験を通して、プロセスは特段に意識して頭に叩き込んでおく必要がある、と痛感した。
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今回の経験から「仕事の進め方はかけがえのない財産になりうる」と僕は学んだ。
そして財産化には、進め方を都度記憶することが重要と痛感した。
具体的には、毎日少しだけ時間を取って「なぜその決定に至ったのか」をメモすると良さそうだ。
・現段階で日報を書いている方は、↑を可能な範囲で書くようにする。
・日報を書いていない人は、wordか何かにメモを取る。日記に書くのもいいかもしれない。
毎日5分程度の積み重ねが、将来を支える糧になってくれる。
これは社会人に必要な投資能力だと、僕は考えている。
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