僕のキャリアは、ゼネラリストかスペシャリストかと問われれば、間違いなくスペシャリストに区分される。
決して僕が一流の専門家だと言いたいわけではない。あくまで所属した部署の数の話だ。
(スペシャリストという言葉をを技術の精度的な観点で使うなら、僕は間違いなくスペシャリストではない。)
僕は入社して初めて今の研究所に配属され、丸9年間居座っている。今後もしばらくはここに留まっていると思う。

幸運なことに、僕はこの研究所において、それなりに求められている人材であるらしい。
何が求められているのかといえば、今までの経験に紐づけされた確実な仕事のこなし方。
特に複数の部署の研究内容が絡む特許の作成や、新規・既存分野にとらわれない広範な調査業務など。
一言で言うと「今まで得てきた幅広い知見を結びつけて具体的な形に収める能力」が求められている(ようだ)。
(↑の数行を書くのに、体がむず痒すぎて数十分かかった。手前味噌&おこがましすぎて全文を消したい衝動に駆られているが、未来の自分へプレッシャーをかける意味合いも兼ねて、あえて残しておく)。

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これも幸いなことに、僕は今までに研究所の3つの部署全てに関わらせてもらった。
軸足は今の研究室に置いているが、今の研究室でも計4つあるチームの全てに関わってきた。
更には残る2部署のうち1つには兼務で派遣され、内部事情について詳しく把握することができたし、
最後の1部署にも、現部署との共同研究の内容を権利化するにあたって特許を書かせてもらったのを発端とし、事あるごとにディスカッションをさせていただいている。

この状況に、僕は非常に助けられたわけだ。
これがもし、今の部署に閉じこもり切りだったら、少なくとも今のような求められ方はしなかっただろうと思う。
ただの変わり者として、他の部署・部門に飛ばされていたかもしれないし、窓際社員になっていたかもしれない。
この変化がなかったらと思うと、ぞっとする。

...こうなったきっかけは、①所属チームの解体と、②社内副業への応募、だった。

①に関しては、丸4~5年かけて身を尽くして(?)きたチームが「用無し」となり、人員補充のために別チームへ再配属された。
新しい実験手法だったり、そのチーム独自のローカルルールだったり、そういったのを身に着けるのは結構しんどかった。
②に関しては「変化してみるかなぁ」という軽い気持ちで応募したが、
副業先の研究室は結構な激務で、これまでのように実験中にマッタリする暇もなく、いつでもスイッチがONの状態を維持していなければならず負荷が高かった。
思い返せば、①②どちらも、自分の中ではそこそこの「激動」だったと感じる。

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今回の経験から身をもって学んだことは「変化は必ずどこかで自らを助く」ということだ。

変化することはシンドイし、できれば避けたい。今でも僕は変化を避けたくなる。

しかし変化に直面した当時はキツイものの、そこで得たものは必ずこれまでの経験と繋がって、自分の力となってくれる。
こと研究開発においては、各々が各々のテーマ内に籠りがちになるので、テーマ同士をつなげることができる・思考のジャンプアップができる人材が強く望まれている...のではないかと僕は実感している。

変わる方と変わらない方が選択肢に出てきた際は、迷ってもいいので最後は変わる方を選ぶ。
僕はそのようにありたいと思うし、他の研究開発の方々にもそうあってほしいなと願っている。

...年明けの出張行きたくねぇな。