僕は公害防止の大気一種を受けて、めでたく不合格となった。
問題を解いていて「あ、これ落ちたな」と明確に分かるレベルの完敗で、これまでの取り組みの穴も分かり有意義な敗北だった。
今回は後世の受験者へのアドバイスも兼ねて、「何がダメだったのか」を考察したいと思う。

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○今回の試験での得点率
各教科の得点率は以下の通り。

大気概論       9/10(90%)
ばいじん・粉じん特論 15/15(100%)
大気特論       5/15(33%)
大気有害物質特論   9/10(90%)
大規模大気特論    5/10(50%)
(公害総論は水質一種取得時に合格したので免除)


○僕の勉強方法
基本方針は「とにかく過去問を解いて感覚を沁み込ませる」だった。
5教科全てにおいて、過去問12年分を解いた。
1日につき1ヵ年分の1科目(10~15問)を必ず解くようにし、間違えた問題はその日の最後にもう一度見直し、内容を記憶した。

教科書は計3回通読した。
1周目は過去問と照らし合わせながらの通読。内容の大まかな把握と、頻出分野の確認が目的。
2周目は過去問を何周かして覚え込んだ内容をつなぎ合わせる(知識の補強)目的で、頻出分野を重点的に。
3周目は試験1か月前から、最後の追い込みの意味で。これも頻出分野に絞って知識を強化した。

試験勉強自体は8か月前から始め、目立った失速もなく最後まで一定のペースで勉強を進めた。
勉強時間は1日で15分~30分程度。仕事ありトレーニングあり家事ありの中では上限に近い勉強時間だったと思う。

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○何がダメだったのか
今回不合格だったのは、大気特論(得点率33%)と、大規模大気特論(得点率50%)。
両教科に共通したのは、圧倒的な「教科書の読み込み不足」だった。

覚えるにしても、何となく、で済ませてしまっていた。
「明らかに間違った選択肢はピンと来る」レベルの、いわば感覚で覚えていた。

過去問を解いていったところ、↑の感覚で解ける問題が多く、油断してしまった。
ただし年度によっては感覚で解けない問題も多く、他教科より難化しやすい科目だと薄々気づいてはいた。
しかし実際に教科書を念入りに読み込むことはなかった。これについては後述。

また今回、僕は頻出分野に絞って教科書を読み込んでいたが、これが間違いだった。
同じ公害防止試験の水質一種に関しては、頻出分野への絞り込みで無事合格できたが、大気一種も同じだろうと高を括っていたのが間違いだった。


...教科書の読み込みを阻んだのは、時間的制約と欲だった。

確実性を期すのであれば、教科書をもっと読み込んだほうがいいと心の憶測では分かっていた。
しかし実際には、過去問のやり込みに終始した。

理由は「時間がかからずどこでもできるから」「他にやりたい事があったから」
今のご時世、過去問はスマホがあればどこでもできる。加えて丁寧な解説もついているので、教科書の読み込みより手間がかからない。
また、僕は散歩が好きで、夕方には必ず30分~1時間程度の散歩をして頭をリフレッシュしている。
加えて最近購入した活動計の歩数を稼ぐことに夢中になってしまい、歩数欲に突き動かされた「歩かねば」という強制感が舵切りの邪魔をした。
歩いていた時間を教科書の読み込みにコンバートできていれば、少なくとも今回よりは高得点を取れたと思う。

ただその一方で、過去を何回やり直したとしても、今回の難易度の試験で合格点を取ることはできないとも感じる。
何回頭の中でシミュレートしても、自分が合格できた勉強の軌跡というものが像を結ばない。
来年の受験に関しては、とにかく教科書を一言一句覚え込むレベルまでやり込み、あとは易化の天命を待つしかないと考えている。


今後この試験を受けるであろう受験者には
・過去問のやり込みだけでは全くもって不十分。
・オタク心を持って教科書を隅から隅までやり尽くせ。
以上2点を伝えたい。

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○大気特論と大規模大気特論の色の違い
今回落とした大気特論と大規模大気特論。
これら2科目の間には、微妙な「出題の色味の違い」がある。

まず大気特論。この教科は「覚えているかどうか」そのものが問われる。
用語の定義や規格の数値など、本当に細かいところまで聞かれるが、記憶した文章/値そのものから大きく外れた出題は少ない。
出題の殆どは、教科書に記載されている文章がそのまま答えになる。
極論を言うと、教科書の一言一句を全て頭に刻み込めば、計算問題以外は全問クリアも夢ではない。

一方で、大規模大気特論で問われるのは「理解しているじゃどうか」。
一言で表すと、ひねりが加えてある。
どういうことかというと、用語の定義は一言一句記憶したうえで、その用語を実際の使用例に当てはめる...といった具合。
実際の現場で「あなたはどれを使いますか?」と聞かれる感覚に近い。
一見すると教科書に載っていないが、教科書の文章を思い出し、「こういった使い方もできるよな」と想像を一段登ると答えが見えてくる。
教科書の徹底的な読み込みは最低限必要で、そのうえでセンスが求められる。

とは言いつつも、大規模大気特論は簡単な問題(単純な記憶問題)が6問はほぼ必ず入っている。
なのでこれらの取りこぼしを無くすことも、応用問題に備えるのと同じくらい大切だ。
ただ自分は、この「簡単な問題」を1問取りこぼしてしまい、今回不合格となった。
「簡単な問題だけを満点回答で合格を狙う」は、実際の所非常に危ない橋を渡っていると感じた。


○来年の受験に向けて...どうする?
とにかく教科書を徹底的に読み込むしかない。と考えている。
大気特論と大規模大気特論、それぞれ約100ページの出題範囲。
1日に2~3ページでもいいので、毎日精読(通読ではない)をして、知識問題に備える。
合計200ページ、1年かければ3回は精読できると踏んでいる。
その一方で、過去問を解くのは最後のブラッシュアップのみとして、計算問題の勘所を掴む程度に留めてみる。

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正直、ここまで得点率が低いとは思わなかった。
得点率が半分を割ったことは、これまでの人生の中で1回しかない(大学入試問題の数学)と記憶している。
今年の難易度は例年よりも高めのよう。
来年はきっちり易化してくれることを願う。

そして、資格試験にはこのようなこともあり得るので、年度によって難易度が変動する類の試験は基礎基本からきっちり押さえて油断しないことが大事だと、受験する方々には伝えたい。