TOEICが900点。
先日、無勉強で受けた試験結果。
手ごたえよりも良い結果で(実際、受けた直後は700点台だと直感した)、我ながら驚いている。

前回の受験から1年。
その間、TOEICを想定した勉強は0。英語に触れること自体、1日10分とかそのレベルだった。
間違いなく無対策で、無勉と言ってもよいレベル。
それでも今回の点数を取ることができた。

これは偶然ではないと僕は確信している。
「上達」という、人類が憧れ追い求め続ける事象につながる一端を垣間見たのではないかと感じている。

では、その背景にあるものとは何か。何だったのか。
以下述べていきたいと思う。


〇英語に触れる事自体1日10分
まずは今回の状況の説明から。

・TOEICの試験については一切のやる気なし(1年に1回はTOEICを受けないといけないという謎の人事ルールにより仕方なく受けた)。
・やる気が無かったので当然試験対策は0時間0分。
・英語の学習は、1日10分(詳しくは後述)。リスニング7分/リーディング3分。
・テスト結果は L/R=470/430。
・普段の業務で英語を使うことはほぼ無し。たまに論文を読む程度。例外は3か月前にあった外国人相手の研修。

...このように、英語を勉強している人からすれば「お前舐めてんのか」レベル。
実際僕も「もっと英語やらんといけんなぁ」と思いつつ、日々の忙しさと体力低下(あと陸上)に追われ、勉強をサボっていた。

〇やったこと:主語-動詞の聞き取りだけにフォーカス
しかし英語学習に時間が割けていない一方で、今回の900点はまぐれではないと確信している。
それはなぜか。

答えは1日10分の英語学習の中にあった。
1日10分という無に近い勉強時間が、実はとても濃密で的確なものだったのではないかと。

元々は無い時間で何とか英語力をキープしようと始めた苦肉の策だったのだが、そのクオリティを上げたきっかけは数か月前の外国人研修だった。
研修で僕は英語が全く聞き取れなかったし話せなかった。
その理由を分析した結果、「主語と動詞が、組み合わせとして聞き取れていない/頭に入っていないからだ」と気づいた。
英語は主語と動詞が文頭に来る。
つまり主語-動詞を一つのブロックとして頭に吸収できないと、文全体の意味が分からなくなる。英語の瞬発力が無かったのだ。

主語-動詞を吸収できたとしても、その先も聞き取れないと結局意味分かんないのではないか?とも考えた。
しかしそんなものはやってみないと分からない。
だから僕は、今一番ハッキリしている原因「主語-動詞の聞き取り」に最大限フォーカスしてみた。

具体的にどうやったか。
僕が晩飯を食べるのが19時ちょうど。
その時間帯のNHKニュースは、英語への吹き替えができる。
なので飯を食べつつ、音声を英語に切り替えたNHKニュースを見ていた。

聞き取り方は、とにかく「主語-動詞を聞き取ろうとすること」にフォーカス。
最初は手こずり、一回も主語-動詞を判別できずにニュースが終わることもあったが、
フォーカスし続けていると次第に慣れてきて、最後はそれなりに(3回の発言中2回程度は)主語-動詞を聞き取れるようになった。
英語とは面白いもので、主語-動詞を上手く聞き取れた文は、たいていが最後まで概ねの意味を掴めた。
最初に懸念した「主語-動詞を吸収できたとしても、その先も聞き取れないと結局意味分かんないのではないか?」は、杞憂だったということだ。


...最初は上記のリスニングだけだったのだが、リーディングもやっといた方がバランスが取れていいんじゃないかと思い、読み物をすることにした。
読み始めたのは「ピーナッツ」。スヌーピーが主人公の漫画だ。
過去の作品が無料で読めるホームページ(Go Comic?ご興味ある方はググってください)で、1日2~3作品を斜め読み。これで大体3分。

ここでもポイントは「主語-動詞の読み取り」。
読んでいると「こういう主語-動詞の組み合わせもあるんだ」と気づく表現も多く、そうしたものはメモるようにした。


「主語-動詞の文頭をきちんと理解する」という、ある意味英語学習の大原則。
ここに僕の弱点があると探り当てることができたのが、今回のTOEICスコアにもつながったと実感している。


〇伸びるコツ
↑の事例から「上達するためのコツ」について、僕なりの持論をダラダラと書き連ねていきたい。

①要点を押さえる
第一にやることは「自分が出来ていないのは何なのか、を把握すること」。
「出来ていない」の根本を探り当てる。これが要点になる。
要点が複数ある場合は、各要点に重みをつけて、一番重い要点だけにフォーカスする。

②実践は1つの要点のみに絞り込む
無駄なことはしない。
今回の経験から、パフォーマンスは「押さえた要点の確度×足りないものを埋める際の集中力」で決まると感じている。

...↑の式に「量」の観点はほぼ存在しない。
厳密に言うと、量は集中力を立ち上げるためだけにあると考えている。
例えば英語学習の場合、僕は英語脳になるまで数分間の助走区間が必要だ。
英語脳になった時点で、構文を1つでも読む/聞くことができれば、英語脳としてのパフォーマンスがMAXのところで刺激が入る。
この刺激が1回でも入れば、英語力は向上するわけで、英語脳が立ち上がってからの学習時間は1分でも1時間でも大きく変わらないと思っている。
(むしろ何時間もダラダラやると集中力が下がる→ダラダラやるレベルの低レベルの刺激が上書きされるのでマイナスになる)。
この「集中力が立ち上がる」までの数分間を稼ぐのが量の果たす最大の役割。


③杞憂に惑わされない
目の前の要点を押さえる→次にできないことが見えてくる→新たな要点を探り当てる...の繰り返しでしかない。
目の前の要点を押さえる際のデメリット(今までやってきた事ができなくなることで生じる不都合)を考えすぎてはいけない。・考えすぎるとは、デメリットを重く受け取りすぎて、結局今までのやり方に立ち戻ってしまうまで考えを続けてしまうこと。

デメリットに目が行くのは人間の心理的構造上仕方のないこと。
しかしやってみたら分かるが、これまでやってきた事を1つ2つ放り出しても、実は殆ど悪い影響がない。
やり続けることでそれなりに身に沁み込んでいて、止めてもその回路が回り続ける、というのが1つ。
もう1つのメリットとして、新たな刺激が入るリフレッシュ感から集中力が増すこと。


〇基礎とは?
とはいえ様々な知識・技術を吸収するフェーズも大事
中学~高校~大学~大学院、常に英語は伸ばそうと努力してきた
年数にして、約3+3+4+2≒12年間。

この10年強は覚えて忘れて覚えなおして...の繰り返しだった記憶だ。文字通り何でもやった。
今となっては、この「基礎固め」のフェーズはもう少し短くても(半分≒6年程度?)良かった肌感覚。

一般に必要とされる事柄を、忘れようがないレベル(忘れてもニュアンスで感覚的に分かる)まで持っていって初めて基礎が固まったと言える
英語は文法書に必要項目がまとまっているので、比較的見極めがラクだと思う。
そして基礎が固まったら、そこから先は要点の見極めの世界に入る。と僕は考える。


ルーティン的に長年こなしてきたと感じるなら、「要点見極め」の世界に足を踏み入れてみていいのでは、と僕は思っている。
多くの人にとって、飛躍のきっかけになると思う。