僕の勤め先は、伝統的な日本企業。いわゆる「JTC(Japanese Traditional Company)」。
JTCの特徴の1つとして「雑務が圧倒的に多い」という点がある(と僕は常々感じている)。
雑務で本来やるべき研究開発がなおざりになり、生産性も創造性も地の底まで落ちる。そんなイメージだ。
研究職である前にサラリーマン。雑務からは逃れられない。

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僕が入社してから丸8年が経つ。
その間に経験した雑務(雑務係)のうち、記憶に残っていて、かつ負荷が高かったものを以下に示す。

〇研究討論会の幹事
月に1回開催される研究討論会(各拠点の研究員が、各々の研究テーマを発表し、討議する会)のとりまとめ役。
まずこの会自体が本部長のツルの一声で始まった会であり、発表者も質問者もやらされ感が強い(と僕は感じている)。
そして取り纏めも非常に面倒で、発表者に要旨の作成をお願いして、要旨の原案をこっちで編集して全体に配布するのだけど、この編集作業がまあ面倒。
書式がwordの古いバージョン(一太郎?)なのが致命的で、コピペするとガタついてレイアウトが狂う。
何回かあるWEB接続テストも地味に面倒。

〇英語の勉強会(定時後)の取りまとめ
入社3年目までは強制加入の勉強会。「自己啓発」という名目で、もちろん残業代は出ない。
講師の先生や参加者と予定をすり合わせて開催日を決定→当日も司会進行を務めるというのが主な役割。
この「皆から参加日を募る」というのが地味に時間を食う。
授業料の徴収もやるのだけど、参加者がいる居室までこっちから足を運ぶ必要があったり、支払い遅れをいちいちチェックしたり...思い出すだけでストレスが復活してきた。

〇懇親会の幹事
コロナ前は少なくとも月2は課内全体での飲み会があり、幹事として出欠者の取りまとめ、店の決定、お金の管理などを行っていた。
開催日の決定が一番面倒で、できるだけ上司の意向を組みつつ、できるだけ多くの人が参加できる日を決めねばならない。
そうして仮決めした開催日も、店の都合で開催できず、再度皆にアンケートを取る...なんていうのもザラ。
しかも僕の課は大人数(20人程度)なので、そもそも全員を収容できる店が少ないのもあり、店が決まらない不安と常に戦っていた。
追い打ちをかけるのが、店のチョイスについて不安をこぼす課員。
数少ない店の中から皆の都合を勘案して決めるこっちの身にもなれよと。

〇分析機器の管理者
僕はIR分析機器の管理者になっている。
何が面倒かというと、機器のトラブルがあれば真っ先に連絡を受けるので、その都度仕事をほっぽり出してすっ飛んでいかなければいけない点だ。
加えて、僕が面倒を見ているIRは比較的ポンコツなので、年に何度も業者のお世話になることがある。
修理となれば、修理予算の見積もりを取る→上司に許可を貰いに行く→修理案内を全体にアナウンスする→業者の安全教育云々を任される...と雑務が降ってくる。
一週間は仕事の手が止まる。

〇安全推進委員
キングオブザ面倒。
メーカーの工場は、ほぼ例外なく安全関係の手続きが異様に厳しく、普段の業務の5割は安全対策、といっても過言ではない。
(少なくとも大学時の10倍は安全に気を遣わねばならなくなった)
また、コンビナート地区の工場は、定期的な安全教育が義務化(努力義務?詳しくは知らん)されているらしく、工場併設の当研究所も例外ではない。
こういった安全対策や安全教育を一手に引き受けねばならないのが「安全推進委員」。
各課1~2名が2年持ち回りで担当していくのだけど、皆口をそろえて言うのが「もう二度とやりたくない」。
僕も持ち回りを引き受けて4ヵ月目だが、早くも仕事が回らなくなった。

安全関係の会議が月3回あり、まずはその会議資料の作成(各A4で5枚程度)を作らなくちゃいけない。
さらに、会議が終われば議事録、教育完了書、閲覧資料...こういった書類を都度作って、課員と上司、所長の印鑑をもらいに行く。
さらには月1回の安全巡視の案内を作成→当日に巡視者を案内→指摘事項を纏めて是正→是正内容の報告書を作成→所長の直しを食らって作り直して提出...。
他にも、各月1~2回の機器点検に必要な書類を作って課員に配布、大掃除の計画と取りまとめ...など、まさに書ききれないほど仕事がある。
実質、生産性の7~8割はこの(クソ)雑務で持っていかれている。
もう嫌だ。


〇他にも
・労働組合の選挙係
・独身寮の管理委員
・仕出し弁当の注文/集金
・地元企業間の勉強会の幹事
などなど...。

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上記の雑務は「いつかは必ずやらなくちゃいけない事」になっている。
であれば、できるだけ業務に余裕があるうちにサクッと済ませておくべきだ、と痛感している。
入社8年目ともなれば、それなりの責任も出てきて、仕事の内容もヘビーになってきている。
その中で安全推進委員を回していくのは想像以上につらい。
(これまでに課内の状況で出来なかった...というのも一因なのだが)

JTCの研究開発職に就かれる方は、ぜひとも早いうちに「雑務係」を引き受け、入社3~4年目くらいにはフリーになっておくことをお勧めする。