今日、分析機器の不具合の修正を見学する機会があった。その分析機器は、数年前までいた同僚(転職してしまい今はいない)が管理責任者だった頃は頻繁にメンテがされていたが、今の管理責任者はそこまで詳しい口ではなく、メンテがなおざり気味になっていたものだ。だましだまし数年間使ってきたが、ついにガタがきた(企業の研究所ではこういうケースが実はけっこう多いのではないだろうか)。なので重い腰を上げて不具合を修正することになった...という経緯。
そこで役立ったのが、当時の管理責任者がつけていた「メンテナンスノート」。過去のメンテナンスの日時や修正箇所、修正内容が事細かに書かれていて、とても助かった。
しかし当時の記述には所々「?」となるところも多く、なぜそうなったのか・今回もそうしないといけないのか、判断に困って時間を食うことも多々だった。
実は僕は、その退職した管理責任者と同じチームで働いていた。なのでなぜ彼がそういう判断をしたのか、答えようと思えば答えられる(答えなくてはいけない)立場にいた。
しかし僕は答えられなかった。
当時は自分のテーマで頭がいっぱいであり、また他人が手掛けているテーマを理解すべきとも思っていなかったので、彼が何をしていたのか、ほぼ全くといっていいほど把握していなかった。彼が分析機器のメンテに精を出していたのは4年前。もはや当時の研究メンバーも数少なく、昔のことをきっちり覚えておく必要があることを痛感した。
以下、研究所に少しでも長く勤めたい方々へ記す。
企業の研究所にずっといたいのであれば、それ相応の人間にならねばならぬ...と考える。聞いた話も含め、企業の研究所は、思った以上に人材の出入りが激しい。正確には「出」が多く、その割に「入≒一旦外に出た研究員が帰ってくること」が少ない。だいたいは、入社時に研究配属となって品物の詳細を学び、他部署(営業、製造、調達...)へ飛ばされ、それっきりだ。仮に帰ってきたとしても、初回配属時からウン十年経ってからであり、係長や課長ポストに就くことが大半。現場サイドで「今」を学べる状況にはいない。
なので企業の研究所には「今と昔をつなぐ人材」が非常に少ない。この辺りを上層部は結構理解していて、所によっては「研究所にずっといるポスト」を持っていたりもする(うちの親父はこのパターン)。
このような「ずっといるポスト」を希望するのであれば、それに見合った能力≒昔のことを事細かに&広く覚えておく能力を今現在から開発する必要があると思う。そして随所でそれをアピールすることで「こいつはずっと残しておきたい」と上層部に思わせれば勝ちだ。
そのために必要なのは、今現時点から、同僚・後輩がやっている検討内容をしっかり理解・把握しておくこと。それも書面ベースではなく、現地に赴いて、なんなら一緒に作業をする。上層部が求めているのは、無味乾燥な情報ではなく、現場ベースで知り得たTipsだからだ。
研究所にずっといたい自分への備忘録も兼ねて。
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