先日、公害防止管理者試験の水質1種を受験し、無事合格を果たしました。

130分、使ったのは公式の教科書と過去問のみ、というナメた勉強態度でしたが、それでも十分余裕を持った得点率を達成できました。

この資格を受験する方々の一助となればと思い、以下に合格体験記を記します。

 

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〇公害防止管理者試験とは?どんな試験なのか?

 公害防止管理者とは、特定の工場や事業所において、公害を防止するために置かなくてはいけない役職です。業務内容としては、原材料などの検査、排出物の検査や測定などになります。中規模以上の工場では、資格保有者がほぼ必須となります。

 

 測定する項目別に資格も分かれており、計13種類の公害防止管理者が存在します。大気汚染、水質汚染、土壌汚染、騒音、振動、はてはダイオキシンなど。

 多くのメーカー等で受けるよう推奨されるのは主に「大気」「水質」の2つです。私が今回受けた試験は、ここでいう「水質」となります。

 

 大気・水質の資格は、工場が排出するばい煙や排水の規模により、第1種~第4種の計4種類に分かれます。今回僕が受けた「第1種」というのは、最も大規模&有害物質を排出する事業所で使える資格となります。大気・水質ともに、第1種が最も汎用性が高く、難易度も高くなります。

 迷ったらとりあえず第1種を受けておけば問題ないでしょう。

 

〇試験の概要

試験は以下の5科目から成ります。

 ・公害総論(大気、水質、土壌汚染など、全ての公害について広く浅く学ぶ)

 ・水質概論(水質汚染に関して少し深掘りして学ぶ)

 ・汚水処理特論(工業スケールでの汚水処理の方法について学ぶ)

 ・水質有害物質特論(計27の有害物質の処理法と分析法について学ぶ)

 ・大規模水質特論(モデル解析などマクロな視点で水質を学ぶ)

 

合格ラインは、各科目60%以上の得点率です。

他の試験のように「総合得点率が○○%以上」などの追加要件が無いのは救いです。

詳しくは後述しますが、今回の私の得点率は以下の通りでした。

 ・公害総論:13/15(87%)

 ・水質概論:9/10(90%)

 ・汚水処理特論:20/25(80%)

 ・水質有害物質特論:13/15(87%)

 ・大規模水質特論:10/10(100%)

 

試験は全てマークシート方式です。

試験日は概ね10月初旬頃に設定されます。

受験に必要な資格はなく、誰でも受験可能となっています。他の試験では、「○○学科卒業」や「実地業務○年以上」といった追加要件がある場合が多く、この試験は比較的敷居が低いと言えそうです。

 

なお、合格した科目は3年まで免除可能となります。

例えば、1回目の受験で「公害総論」「水質概論」「汚水処理特論」の3科目が合格だった場合、2回目の受験では「水質有害物質特論」「大規模水質特論」の2科目のみを受験すればよいことになります。職場の先輩に話を聞いても、大半は数カ年計画で合格を考えていたとのこと。

受験料は余分にかかりますが、やり込める期間が長くなるので、時間がない社会人は数カ年対策もおススメです。

 

〇資格によるメリット

ざっと調べてみたところ、メーカーの若手が取ることのできる(取らされる)資格の中では、転職への強みがありそうな感じでした。

転職サイトにて「公害防止管理者 水質1種」のワードで検索すると、管理者側のポストが多くを占めていました(リーダー候補、なんて甘い謳い文句もありました)。

 

業種としては、バイオマス発電プラント、表面処理メーカー、環境衛生検査会社などがあり、

職種としては、

 ・実地職:環境分析およびサンプリング業務、設計・製造、衛生調査・測定

 ・事務職 法令対応事務、生産管理、リーダー候補、購買業務

などがありました。

事務系の職種が意外と多くてびっくりしました。

 

〇試験の難易度など

難易度は比較的高い部類に属します。

難易度の質は「広く浅く系の暗記科目」。時間をかけてしっかり暗記さえすれば、計算力などが無くともほぼすべての問題は解けます。逆に言うと、しっかり暗記しなければ、細かいニュアンスの違いなどを拾いきれず、カバーしたつもりの範囲でも簡単に取りこぼす怖さがあります。

勉強時間が取りづらい社会人にとっては、相当にキツイ試験と思われます。

 

〇各科目の試験範囲

試験範囲は、一言で言うと膨大です。

教科書の該当ページを以下に示します。

 ・公害総論70P

 ・水質概論 110P

 ・汚水処理特論200P

 ・水質有害物質特論180P

 ・大規模水質特論60P

特に汚水処理特論、水質有害物質特論の2教科は、ほぼ全ての中身を網羅しなければならず、難易度が高めとなっています。

総論や概論系は、ページ数こそ少ないものの、マニアックかつ理系が暗記しにくい内容(会議の年次や達成率の具体的な数値など)が出題されるので、別の意味で難易度が高かったです。

  

合格率は、他の試験と比較しても低めとなっています。公式HPで公表されている一発合格率は、毎年10%弱で推移しており、数カ年合格を含めても30%弱とのこと。

当研究所における受験者に話を聞いても、大半が数カ年合格でした。

 

ここまで、公害防止管理者の試験の概要について説明しました。

この次は、実際に試験勉強をした感想と対策を記します。