部署(もしくは研究室)に配属されて日の浅い方には、先輩に自分から話に行ってほしい、と僕は切望している。
僕と同じチームの先輩は、去年と今年の新入社員をいたく気にかけている。
彼らは元々自分から話をしない寡黙な性格だ。
更にコロナ禍がコミュニケーションの断絶に拍車をかけ、今では仕事での必要最低限やり取り以外は、同僚とコミュニケーションしない状況になっている。
僕の先輩は、そんな彼らの境遇を気にかけて、積極的に新入社員と話をするようにしているのだそうだ。
用もなく「おう、○○!元気か?」と話しかけたり、些細なネタ(ロッカーにカギを差しっぱなしで帰ったりだとか)でイジりにいったり...。
当人からすると(傍から見ても)、無駄話としか感じないのかもしれない。
それでも、僕の先輩は、自分にできる事をやるしかないという思いで、一生懸命動いてくださっている。
しかし、新入社員の中にはレスポンスが薄いままの子もいて、正直心が折れかけなのだそうだ。
この話を聞いて、僕も胸が痛くなった。
同僚と話をしないと、何が先輩社員の気を揉むのか。
ズバリ「新入社員が辞めないかどうか」だ。
先輩社員からすると、後輩が何を思っているのか、話をしないと分からない。
話すという行為を通して発せられる雰囲気で、何となく「こいつは大丈夫だな」「あれ?ちょっとヤバイかも...」と分かる。
そして、話す事で仲が深まり、次の仕事が思った以上に円滑になる。
先輩からすると、後輩には辞めてほしくない。
後輩を辞めさせないようにする・後輩が働きやすくする下地を整える...。
これらは先輩社員の仕事でもある。
しかし僕の先輩を見ていて思うのは、「仕事より一段深いところから動いているな」ということだ。
入社して歳を重ねるにつれ、今の職場が大切に思えてくる。
同僚にしてもそうで、家族とまではいかないが、それなりに温かい繋がりが感じられるようになる。
僕の先輩はその温かさを守りたいのだな、と感じるし、僕自身もそういった温かさをいつの間にか持つようになった。
先輩社員にとって、後輩を守る事は、仕事であって仕事でないのだ。
仕事を超えたものでもあるのだ。
だから彼らは後輩に自分から声掛けをするのだ。
新入社員の側からすると「余計なお世話」なのかもしれないし「止めてほしい」のかもしれない。
僕もかつてはそうだった。
仕事とは手足を動かして目に見える成果を生む事であり、それ以外は単なる無駄でしかない、と思っていた時もあった。
しかし、それは単なる作業でしかない。
作業以外の「一見無駄に見える事」こそが、作業を充実させて、目に見える結果を大きくしてくれるのだ、と僕はこの6年間で学んだ。
同僚とお喋りチックに話す事は、立派な仕事の一部であり、半ば義務でもあるのだ(と僕は思う)。
新入社員の方々に、僕からお願いしたい事は以下の事だ。
話を振ってくれる先輩社員の方がいらっしゃるならば、どうか邪険にしないであげてほしい。
そして、出来るならば、自分から先輩社員に話しかけに行ってほしい。
そうすることが、目の前の先輩を救うことにもなるし、数年後の自分を救う事にもなる。
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