先週は丸一週間かけて実機試作をしていた。

1日目は試作前の釜洗浄。
ドラム1本分の溶剤を釜内にぶち込んで、蒸気で加温した温水を釜のジャケットに通して、撹拌機をぐるぐる回して、溶剤を釜尻から出した。
洗浄するだけなのに、丸1日動きっぱなし。疲れた。

2日目は釜を使って反応をかけた。
釜を蒸気温水で加温して、10時間かけて内容物を反応させた。
この日は釜の温度が思ったように昇温してくれず、想定よりも3時間多く時間を食った。
朝の7時から作業を開始して、終わったのが22時。
現場仕事に慣れていないのもあって、帰ると泥のように眠り込んだ。

3日目は釜の後洗浄。
1日目と同じく、ドラム1本の溶剤を釜内に入れて、加温して、釜内を綺麗に洗いこんだ。
この日も、何だかんだで1日動きっぱなしだった。
3日間の疲労が脚にきて、途中で膝がカクンと折れたのを覚えている。


僕らが着ているのは白衣ではなく青緑色の作業着で、油と埃で黒ずんだ姿は工事現場のおっちゃんそのものだ。
実機試作は二人作業が常なので、バルブの開放時、撹拌機のモーターを入れる時などは、大声で「いくよー!」「はーい!」と掛け合う。
想像以上に肉体労働色が強い。
これは女性でも同様で、僕の下にいた女子の後輩は、僕よりも数倍声を張り上げていた。

冬は作業着の上に防寒着を着込む。
南極探検隊が着込むようなフワフワ付きのフードが特徴の、群青色のコートだ。
これが微妙に重いシロモノで、3~4kgほどある。
防寒着を着込んで実機に据え付けの階段を上り続けると、想像以上に脚にきた。


...とまあ、僕の研究開発生活は中々に泥臭い。
就活していた時は、真っ白でチリ一つないクリーンな部屋の中で働けて、最新の機器を指先1つで扱う...そんな環境を思い描いていた。
しかしいざ働いてみると、壁にひびが入った打ちっぱなしの実験室で、30年前から現役の錆が浮いたオイルバスを使って、樹脂を大胆に煮込み溶かしている。
もしくは上に挙げたように、防寒着を着込んで冬の寒さに耐えながら、2階建ての実機をゴウンゴウンと動かしている。

こうした泥臭さは想定外で、最初は慣れるのに苦労したが、なかなかいい運動にもなるし、最近はそれなりに楽しめている。
無心で身体を動かすと、当たり前だがご飯が美味しいし、アイデアを冷ましてもう一度相対するのに必要な"寝かせ"の時間にもなってくれる。

新しいモノを作り出すのも面白いけれど、毎日きちんと働けて、ご飯が美味しいのが一番幸せだ。
実機試作の2日目の遅番の帰り道、先輩と「今日のご飯は何食べようか?」と話しながら歩いた帰り道が、一番思い出に残っている。


企業の研究開発について、皆さまのイメージ作りの一助になれば幸いである。