企業のR&Dではどのような頭の使い方をするのか。
一言で言い表すのはとても難しい。なので、箇条書きにしてみた。少しでも雰囲気が伝わってくれれば幸いだ。


企業の研究開発においては、
・とても"初歩的な"科学的知見をベースにして
・慣れれば中学生でもできるレベルの簡単な実験を組んで
・自然法則に則った結果が必ず出るように丁寧に操作して
・望む望まないに関わらず結果はあるがままを報告し
・意に反する追加実験も嫌な顔をせずやり遂げ
・上司の解釈を聞き入れ、
・上司の"提案"を反映させて次の実験を組んでいく


上司の言い分は絶対だ。
僕が経験した「お前、よく考えてやっているな!」と褒められた時は
・上司の解釈・提案をまず聞き
・「いいアイデアですね!一考してみます」と爽やかに応え
・少し時間が経つまでそのアイデアをそのままにしておいて
・上司の記憶が薄れた頃合いを見計らって
・次の実験系にそのまま反映させていた

いわば「少しタイムラグを挟んだコピペ」をした時だった。


実際、上司の考えをコピペする事は大切だと感じる。
なぜなら、今の製品の特性、市場の好み、そして「ここをいじればこうなるだろう」という勘所、こういったものに一番近いのが、長年その仕事を続けてきた上司の思考回路だからだ。

僕がこれをできるようになったのは、つい2年ほど前だ。
入社してから長い間、「自分で考えていないじゃないか!」という違和感が強すぎて、上司の意見を自分から汲みに行くことができなかった。完全にプライドが邪魔をしていた

この点に関しては、今も少し(時々かなりの)抵抗感がある。
企業の研究開発においては、完全にオリジナルな考えというのはほぼ皆無で、上司の言い分を丸々コピペ、もしくは9割程度残すことが「考える」といってもいいのかもしれない(少なくとも当社ではこの気が強い)。


そうして上司に必死についていく中で、ふとした瞬間に異動なり退職なりで上司が消えて、自分が矢面に立たなければならなくなる。
そうなった時に一番頼れるものは、やはり上司の思考回路をなぞることなんだろうな、と思う。
生き残るうえで、「上司の考えをコピペする」事は必要ですらある。


企業の研究開発に就く前にやっておきたい事は、自分の尊敬する人の思考回路を真似し、なぞる事。
ここで「100%真似る事は、必ずしも悪い事ではない」と腹から納得しておくと、社会人になってから楽に生きる事ができるかもしれない。


しかし、時々ふと思う。
自分で考えるって何だろう。