入社3年目の後輩が転職する、と昨日聞いた。
結婚を機にパートナーの勤務地に行くとのことで、転職先はどうやらウチの製品のユーザー側、同じ研究開発部門らしい。

彼曰く「新卒扱いギリギリのところだった」と。
彼くらいの年=入社数年目までは、一から育てるコースがメインのようで、管理職の経験を数年以上積んだ人には、管理職コースの転職ポストが用意されているらしい。

...お気づきの通り、入社数年目~管理職数年目の間には、転職を難しくするギャップがある。一から育てるには熟しすぎ、管理職ポストに入れるには未熟すぎるのだ。このハンデを埋めてくれるのが、いわゆるスキル(資格、経験、人脈...)なのだと思っている。



転職する後輩と話した後、今の僕をふと見返してみた。...外に出せる類のスキルがほぼ無いではないか。
視覚化できるスキルは、
・英語関係(TOEIC)
・化学系の資格(危険物、高圧ガス、etc...)
くらいなもの。

後は製品の開発経験。
「既存製品の品質問題の原因を見極め、保証期間を6ヶ月延ばし、トラブル解決を実現しました」「顧客のニーズに対応した環境配慮型の製品を1から開発し、採用1歩手前までこぎつけました」...などと言えば聞こえはいいが、要は上司の言うがままについていっただけである。

「上司には3通りのサンプル作ればいいと言われたけど、手が空いてるからもう1バッジ仕込むか、と遊び半分で作ったサンプルが予想以上の性能で、今はそのサンプルを主軸に動いている」。思い出せる"僕オリジナルの功績"は、こんな些細な事だけだ。


お気づきの通り、僕の可視化できるスキルは極めて少ない。研究開発の世の常だろう。



しかし僕は、この研究所で、人として生きるうえで大切な「生きるスキル」を学ばせてもらっている。
・同僚ときちんと会話をし、分かろう/分かってもらおうと努める
・困っている人を見かけたら助けに行く
・まず自分が幸せであることに努める。そのうえで人を助ける
ざっと書くとこんなところ。研究開発ならではの「暇」があるからこそ出来ている事だ。



研究開発には「暇」と「忙しい」があって、「暇」の割合が比較的高い。この「暇」を使ってアイデアを練ったりモノを作ったりするのが研究員の仕事の1つだ。

僕はまだ、「暇」を使って仕事ができるほど"研究員スキル"ができていない。その1つ前の段階として「生きるスキル」を磨かせてもらっている。


「生きるスキル」が身に着けば即研究スキルが上がる...とは思っていない。しかし「生きるスキル」があれば、今後どんな環境に置かれようとも、そこそこ幸せに生きることができそう、とは感じている。もしかしたら、過酷な今の世をサバイブするのに一番必要なスキルかもしれない。