R&Dで実際に働いてみると、思った以上にコミュ力が必要でした。

その中でも、特に求められると感じたコミュ力を3つ、以下にまとめてみました。


R&D
を志す方々の参考になれば幸いです。

 

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■コミュ力①:現場の兄ちゃんに可愛がられる力


研究職は、研究所での小スケールを製品化するために、現場に出向かねばなりません。

配管むき出し、至る所で蒸気が噴き出している、まさに「製造現場」。

 

現場の作業員の方々は、いわゆるガテン系。

身体一つで渡り歩いてきた強者です。

 

こちらがどれだけ学があろうと「温室育ちのお坊ちゃま」という目で見られます。

 

そんな現場の方々と張り合うのは、絶対にNGです。

絶対に適いませんし、関係が悪化すれば業務に差し障る→上司に迷惑が掛かってしまいます。

 

私が効果的だと感じたのは、ガテン系の方々の「兄貴心」を引き出すこと。

具体的には「こいつ、なよっちいけど頑張っちょるな。いっちょ力になってやろか」と思ってもらえるようにすること。

 

 

しかし、締めるところはしっかり締められる位置取りをしなければなりません。

 

仕事である以上、操作手順を指揮し、ダメな振る舞いは注意せねばなりません。

そこで舐められていると、現場の方々は動いてくれません。

なので「あいつはなよっちい」「けど頑張っている」の2つが必要なのです。

 

 

■コミュ力②:客先の技術者を立てつつグッドな提言ができる力

 

企業の研究者は、訪問先=お客さんのプライドに障った時点で負けです。

 

訪問先のお客様はもれなく立場が上。

相手の試験データがどれだけお粗末でも、「○○は検討されたんですか?」「▲▲という理由では?」と、相手の非をあげつらうような物言いは絶対にNGです。

最低でも、こちらがモノを言った直後の相手の反応で「今のはマズかった」と瞬時に感じられる力は必須です。

 

かといって、相手の言う事をただ聞くだけでは、こちらの技術力が舐められます。

相手の要求を叶えられる(可能性が高い)提案を、相手の話を聞いた直後に打ち出せるかどうかがキモです。

「持ち帰って案を検討します」では通用しません。

その場で相手を唸らせる提案。これが必要不可欠です。

 

 

まとめると、自社の「顔」になれる器用さと大胆さが必要ということです。

お客様は、営業に同行した技術者=その会社の技術力、として評価します。

技術が舐められると、不信感が募る→問題発生時に槍玉に挙げられやすくなってしまいます。

 

 

■コミュ力③:村社会でうまく立ち回る力

 

R&Dは流動性が低い村社会です。

 

私を含めほとんどの社員が、月に数回の出張以外、基本的に研究所で仕事をしています。

毎日同じメンツと顔を合わせて、同じ実験室を使います。

仕出し弁当のメーカーも全員同じ。

 

人の噂があっという間に広がる高度な村社会であり、ある意味陰湿だとも感じます。

 

 

そんな社会でうまく立ち回れるかどうかは「人間観察力」にかかっています。

具体的には、各グループにいる「陰の実力者」(管理職ではない!)を的確に把握し、彼らに気に入られる(少なくとも気に障らないように振る舞う)如才なさ。

 

尖っていても構いませんが、、相手が腹を立てる事は分かる(そしてそれをやらない)力が必要です。

 

 

理想は「出る杭にならず、嫌な事も引き受ける」波風立てない人間です。

 

「研究者は『出る杭であれ!』」という世間の観念とは真逆ですが、これが(少なくとも当社にとっては)現実です。

特に大手日系メーカーはこの気質が強めだと、知り合いの話を聞いて感じるところです。

 

当研究所では、尖りすぎて陰の実力者の癇に障る→居づらくなる→他部署へ、のパターンがちらほら。

 

ちなみに当研究所に長く勤めている方で「人の癇に障るタイプの尖り方」をした人はゼロです。

 

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ここに挙げた以外にも、コミュ力が必要となる場は随所にあります。

ハッキリと言えるのは「人と話すのが苦手だから研究職」という考え方では、入社後に辛い思いをするという事。

入社1~2年は個人ワークでも何とかなりますが、3年目以降は対外折衝が求められてきますので。