企業の研究開発では、「時流に合ったモノを嗅ぎ分ける感覚」が求められます

「時代が追い付いていない」ほどハイスペックな製品は、使いこなす人がいないので売れません

 

ことに途上国向けの製品は、対象となる国の技術レベルに寄り添い、「痒い所に手が届く」コンセプトを打ち立てねばならないと実感しています。

 

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〇世界レベルで「環境対応」が猛スピードで進行中

 

COP25に代表されるように、今は環境汚染をくいとめるため、各国が協力する風潮です。

その中では、国ごとに「いかに環境に配慮しているか・エコ化できているか」が評価されます。

 

そのために、各国は環境汚染物質(VOCなど)の規制を強めています。

例えば中国では、VOC税を導入し、都市レベルで排出上限を厳しく定めていたりします。

 

 

〇縮小化する中国マーケットで売上を伸ばしているのは「ハイブリッド車」

 

中国全体における自動車の売上は、今年は11%ダウン、1年半近い期間下がりっぱなしです。

その中で、唯一売上を伸ばしているのは、日本製のハイブリッド車。

今年は30%の売上アップだそう。

縮小する市場で3割も売上を伸ばすのは、まさに至難の業です。

 

中国でハイブリッド車が望まれる主な理由は、「脱VOC対応したいが、電気自動車用の充電設備が整っていない」ため。

 

完全なEV化のインフラ整備が追い付いていない中で、EV化による減税を少しでも享受したい。

そういった消費者の狙いがあるようです。

 

 

〇化学業界においても、脱VOC化は設備面・技術面が追いついておらず、「毒性の低い溶剤」で代用

 

中国には、日本以上に中小メーカーが林立しています。

それら中小企業はどこも資金不足で、脱VOC対応の設備の導入が追い付いていません。

 

また、設備を入れた大企業においても、脱VOC化した製品で従来と同レベルの性能が出せていません。

 

この「設備が無い、技術もない」中で、どうやって脱VOCの恩恵を受けるか。



抜け穴の1つは、「毒性の低いVOCを代用する」こと。

 

実は中国のVOC税には、係数がかけられています。

「トルエンは毒性が高いから30%の税金だけど、エタノールは毒性が低いから10%の税金でいいよ」という風に(上記の数字はイメージです)。

比較的毒性の低いVOCにかかる税金は安くすみます。

そのため、毒性の低い有機溶剤で「VOC税の影響を最小限に留める」戦略が、中国では主流だそうです。

 

 

〇「完全なエコ」の一歩手前にある技術が、真に望まれているもの

 

研究開発をしていて実感するのは、「現状の設備でも使えて、かつエコ対策にも少しは貢献できるものが一番望まれている」ということ。

これには以下の2パターンがあると考えます。

 

・現状の設備でも、将来的なエコ設備でも使えるもの

・製品のコンセプトはそのままで、少しでも環境への負荷を下げたもの

 

「完全なエコ」という理想と、「技術も設備もない」現実を橋渡しするもの。

これが、今後のモノづくりで目指すところになりそうです。