働き方改革による残業規制。

「残業が無くなってラッキー」と思ったのもつかの間。

研究開発において、思った以上の弊害を感じるようになりました。

 

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〇働き方改革で目に見えて減少した2つの事柄

当研究所では、働き方改革の一環で、今年から残業規制が本格的になりました。

 

具体的には、

1人当たりの残業時間を細かくカウント

・定時を過ぎると「早く帰れよ」と管理職から声がかかるように

 

 

自然、定時を過ぎると職場に居づらい雰囲気に。

すると、以下の2つの仕事量が、目に見えて激減するようになりました。

 

 

①アングラの実験が激減

「ちょっと興味があるから、本業から外れるけどやっておくか」ということが無くなりました。

すると、「顧客が要望する性能」のみにフォーカスしてしまい、製品への知見の引き出しが減少。

 

例えば、製品の安定性の確認。

顧客の1st priorityではないので、言われてからやるようになってしまいました。

開発が完全に後手に回っていると感じています。

 

 

②研究報告書が激減

「研究報告書」とは、研究内容を知見として共有化するため、やったことを書面にまとめたもの。

書くのにはそれ相応の時間(数週間程度)がかかります。

 

研究報告書の出版数を数えてみたところ、これまでコンスタントに年間1020報程度だったのが、今年は僅か3報しか出ていませんでした。

 

研究員の方々に話を伺うと、口をそろえて「書く時間が無い」とのこと。

限られた時間で成果を上げようとすると、どうしても書く時間が無くなってしまいます

僕自身、残業規制が始まってから、これまでの半分ほどしか書く時間を確保できなくなりました。

 

 

〇研究開発における「働き方改革」の弊害

 

僕が感じている最大の弊害は、好奇心・アイデアが醸成されなくなること。

 

好奇心を育む遊びの実験ができなくなるし、好奇心をくすぐる知見のデータベースも無くなる。

すると、研究テーマへの深み・貯めといった掘り下げ感が失われてしまいます。

 

直線的な研究開発をしていると、横風が吹いたときに対応できません。

例えば、顧客が新しい要望を出した際、手持ちのデータで即座に提案したり、サンプル提出したり、そういった迅速な対応ができなくなってしまいます。

 

 

〇「働き方改革」の負の面をどう乗り越えるか?

 

僕が考えるのは「今の顧客対応の優先度を下げてでも、将来のタネを育んでおくべし」ということ。

 

時間を捻出するには、何かを犠牲にせねばなりません。

具体的には、顧客への対応案件に見切りをつけたい(80点→60点へ)。

 

そして、ちょっとした時間に手を動かすことを厭わないようにしたい。

そのために求められるのは、心身ともに良好なコンディションを保っておくこと。

疲れていると初速が遅くなってしまうためです。

 

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コンスタントに成果を挙げられる研究開発には、「アングラの実験をする余裕」がカギだと実感しています。

今アングラの実験をしやすい環境にいる方は、その恵まれた環境を大事にしてください。

10年後に笑えるようになると思います。