僕がレベルアップを実感した時は、例外なく「傍から見たら低レベルなことを積み重ねた直後」だった。

周りで大成した人を見ても、「え?あなたのレベルでこんな簡単な事をやるの?」と驚いたことがしばしばあった。

こういった体験を重ねるうち、「むしろ、これこそが成長のカギなのでは」と感じるようになった。

 

-------

 

〇「何かをやってみた→思うような結果が出なかった」時は、「そのステージの1つ下の積み重ねが足りない場合」が殆ど

 

勉強であれスポーツであれ、僕が経験したあらゆるアウトプット的な経験は、上記の法則が当てはまった。


・学問であれば、数学、物理化学、高分子科学...

・スポーツでは、陸上競技、剣道、自転車競技、ボクシング...

・対人関係では、社内プレゼン、卒論・修論発表、面接試験

・変わり種では、料理や読書なども

 

 

〇よくある間違いは「そのステージのやり込みが足りない」と勘違い→そのステージで何回も再試行してしまう

 

僕がTOEICで点数アップを目指した時の失敗談を。

 

1回目の試験で、目標より低い点数(850点に対して740点)だった。

その後僕は、模擬問題を何冊も買いそろえて、問題を何百問もひたすらやり込んだ。

 

確かに解くスキルが身に着けば、短期間である程度は点数がアップした(740点が760点程度には上がった)。

しかし、問題を解くという「アウトプット」の流れの中では、聞き取れなかった単語の意味・イディオムの用法といった「インプット」は強化できなかった。

結局、当時は760点で頭打ちになってしまい、800点にも到達できずに終わった。

 

今思うと、「740点→850点」というジャンプアップを果たすには、一度基礎基本(この場合は単語の意味、発音)まで戻って、より丁寧で細やかな情報を再インストールすべきだった。

 

 

教訓

・良いアウトプット(この場合は英文の意味を正確に捉えた解答)には、丁寧なインプットが必要

・インプットの丁寧さを確保するには、インプットそのものに集中しないとムリ

 

 

〇継続的な成長に必要なのは「レベルをあえて1つ下げる勇気」であり、現状のレベルにしがみつく事ではない

 

僕の体験した限りでは、背伸びした現状にへばり付いても、そこに適応できずにズルズルと実力が落ちていく。

 

そもそも適応には、自らを作り変えるだけの材料が要る。

充実した地力のベースを材料とすることで、1つ上のレベルに適応できるのだ。

 

ベースが無いのに1つ上のレベルに居着いたところで、適応に使える材料が無いので適応しようがない。

しがみつくうち、疲れて出力が低下してしまい、今の自分に見合ったレベルまで勝手に落ちてしまう。

 

なので、レベルを1つ下げた鍛錬を重ねることで、地力を培う必要がある。

 

 

ここで問題となるのが「レベルを落としたいが、落としたくない・落とせない」というメンタルブロックだ。

周囲の目、自分への甘やかし...

それらを振り切って1つ下のレベルに戻れる人だけが、継続的な成長を可能にする。

 

ちなみに、ステージが上がる(≒『ガチ勢』になる)につれて、「レベルを落とせない」強迫観念は強まる。

ガチ勢が陥りやすいパターンは、概ね以下の2つに分けられる。

 

 ・しがらみが増えるパターン(チームで動く場面でありがち)

 ・サボっている罪悪感を感じるパターン(個人の能力開発でありがち)

 

後者の場合、「今の自分がどう転んでも、世の中にほとんど影響は無い」という一種突き放した諦観が効く。


以下に僕の体験談(というか失敗談)を示したい。

 

-------

 

僕は長距離走の練習を重ねるうち、走行距離を落とせなくなった時期があった。

「距離を落とすとそれだけ走力が落ちる」という恐怖心が強まっていき、最大で120kmまで距離を伸ばした。

その結果、左足のアキレス腱が断裂寸前まで擦り切れてしまった。

 

半年ほど、長距離走から離れた。

自転車を漕いだり、剣道を再開したり、走る事以外の様々な事に手を出し、遊んだ。

 

一度離れてみて気づいたのは、「僕が走っても走らなくても、周囲は普段通りに回り、僕自身も普通に生活できている」という事実。

 

そして、「なんだ、僕がどれだけ速く走っても、遅く走っても、何の影響もないんだ」という気づき(悟り?)を得ることが出来た。

 

...それからというもの、僕は走行距離に全くこだわらなくなった。

そして、以前のようにガムシャラに追い込むこともなくなり、普段のジョグは身体の声を素直に聞いて、疲れない範囲でゆっくり走れるようになった。

 

その結果、練習量はガシガシ走り込んでいた時の半分程度になったが、当時を上回るタイムが出るようになった。

こんなにすんなりとレベルアップできたことに、驚きを禁じ得ない。

 

-------

 

Twitterにて、とあるフォロワーさんが、これを「退く勇気」と表現していた。

昇りつめた階段は、一度降りなければならない、と。

 

日々自分のレベルを自問するうち、退く勇気も日々の鍛錬で高められると感じるようになった。

この「退く勇気の鍛え方」も、いずれシェアできるレベルまで昇華したい。

戦う勇気、退く勇気
フランチェスコ アルベローニ
草思社
1999-05-01