企業の研究開発では、予算獲得のため、上の役職の方々にプレゼンで話を通すことが多い。

役職付きの方々は、理系の素養はあるが、我々の研究テーマに関しては素人だ。

 

このような方々に対して、どうすれば聞く耳を持ってもらえるのか。

 

発表を重ねて分かったことは、研究開発のプレゼンにおいては、年配の方々に「おっ、こいつの発表は分かりやすいぞ」と感じさせる事が決定的に大事だということだ。

 

以下に、僕が試して効果のあった「年配のお偉いさん方が、一回聞いてすんなりと大意が理解できる発表」に仕上げるコツを列記する。

 

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〇事前準備編

 

分かりやすい発表は、分かりやすいイントロを作ることに尽きる。

理解しやすいイントロを作るために、まずはバックグラウンドを多方面から理解しておこう。

 

キモは「多方面から」理解することだ。

私は、2×24要素に分けて考えると、多方面から理解しやすかった。

 

 ・「縦の方向(時系列)」、「横の方向(同時代における他者/自分の検討)」

 ・「自分以外の他者」「自分自身の研究」

 

具体的には、

 ・業界・分野の歴史とトレンド(縦の方向、他者)

 ・類似の研究内容(横の方向、他者)

 ・これまでの検討の歴史(縦の方向、自分)

 ・自社/自ラボの類似研究(横の方向、自分)

 

こうすることで、「なぜこの研究をするに至ったのか」というお偉いさん方の疑念を払しょく可能な説得力が生まれ得る。

 

 

〇スライド作成編


分かりやすさを際立たせるには、「この研究の立ち位置」を理解してもらう必要がある。

以下の3点が要点。

 

 ・11分が目安

 ・イントロに全体の半分を割り振る勢いで

 ・実験手順、具体的な手法をイラスト付きで説明する

 

コツとしては、イントロに可能な限りの力を注ぐこと。

対照的に、自分自身の研究の成果は、ワンメッセージ程度で十分だ。

 

 

〇手直し編

 

お偉いさん方の思考パターンに沿うように仕上げるのも、分かりやすさを追求するうえで欠かせない。

そのために、上の立場の方々に計3回は見てもらおう。

 

自分一人で作成したスライドは、どうしても独りよがりになってしまう。

私の場合、万人に分かりやすく仕上げるためには、発表慣れした上司に見てもらうのが一番だった。

 

人選のポイントは、分野の全体像を俯瞰できるレベルの人を選ぶこと。

視点のバラつきを均すため、なるべく複数人に手直しをしてもらおう。

 

 

〇発表編

 

お偉いさん方は、若々しくみずみずしい発表スタイルを好む。

抑揚に富んだ喋り方・なめらかな身振り手振りがあれば、評価がグッと上がる。

 

活き活きとした発表に仕立てるために、何をすべきか。

 

僕が見出したコツは「発表本番において、思考の余力をできる限り節約できるようにする」ことだ。

具体的には、以下の3点が効いた。

 

 ・スライド上に"発表原稿"をキーワードで埋め込んでおく

 ・発表練習は通しで11回、計3日行う

 ・身振り手振りをしながら発表する

 

発表前に発表の練度を可能な限り上げておこう。

発表本番は、発表練習のパフォーマンスをただなぞるだけ。

また、発表スライドに言いたいキーワードを言いたい順に配置して、スライドを原稿化してしまうのも一手だ。

 

僕の場合、無駄な力が抜けた分の余力が、goodなアドリブを生み出してくれて非常に良かった。

 

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研究開発結果の報告は、「今までに何をやってきたのか」の確認の場でもあると実感している。

そして、「すごいことが分かった」よりも「分かりやすい」の方が聞き手に与えるインパクトが大きい場合すらある。

 

僕が見出したコツが、誰かの役に立てば幸いである。