「ビンラディンが3年以内に殺害されるか?」「イギリスは今後3年の間にEU離脱するか?」といった予測を正確に言い当てる「超予測者」。



彼らの言動や予測への姿勢などを研究するうち、彼らに共通する項目が見えてきた、というのがこの本の主題。

科学的に形態立てられた冷静な分析を主体としており、参考にできる知見が非常に多い良書だ。

 

著者は、ペンシルバニア大学経営学・心理学教授のフィリップ・E・テトロック氏。

このテトロック氏の研究を、法学・歴史学を学んだジャーナリストのダン・ガードナーがまとめた形を取っている。

 

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この本で明らかになったことは、「超予測力は、鍛錬により引き上げることが可能な”スキル”である」ということ。

予測能力は、決して生まれ持った才能のみで決まるものではない。

 

予測というものを幅広く解釈すると、「物事を判断する→適切な手を打つ」となり、研究に求められる力に他ならない。

すなわち、予測力は研究力そのものと言える。

この本は確実に研究力を上げる役に立つ。

 

今回、参考になった知見をピックアップして以下に示す。

 

 

超予測者の姿勢で最も参考になるものは、「評価システムを組み込んでいる」こと。

 

彼らは、自らの判断を記録→正確性の確認を、面倒くさがらず、むしろ楽しんで積極的にやっている。

 

やりっぱなしでは判断力の向上が見られない。

フィードバックを与えて初めて思考フレームのどこを改善すべきかが分かる。

 

我々研究開発者も、思考の軌跡と成果とを照らし合わせる時間を取るべきだ。ミーティングによる報告だけではじっくりと内省ができないので不十分。

 

 

次に参考になったのは、超予測者は多くの視点を取り入れようとすること。

 

根底にあるのは「自分の意見は検証すべき仮説にすぎず、何度でも上書きすべき」という姿勢。

 

毎日ゼロベースで考え直すレベルで徹底して自らの意見を蔑ろにする。

そのくらいで丁度良いバランスだ。

 

新たな視点・経験が得られることを楽しめるかがカギ。

 

 

最後に、超予測者は確率論的思考で自らを中立的なポジションに置く。

 

運命論的思考になると、今の自分の思考に価値を見出してしまい、そこから動けなくなる。

「すべての出来事はある確率で起こり得るものなのだ」と考えることで、自説にとらわれない柔軟な思考が可能になる。

 

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超予測者に共通する姿勢を貫くと、思考の質が一段階上がる。

事実を冷静かつ客観的に捉えねばならない研究開発においても、参考となる点が多い。

研究力のレベルアップに一押しの一冊だと感じた。


僕はこの本を読んで、「研究力も、鍛錬により引き上げることが可能だ」と結論付ける。
ぜひ皆様にもこの本を読んでもらい、自分なりの研究力の鍛え方を考え、実施してほしい。