僕はこの本を読んで、フリーランスで身を立てていく壮絶さを目の当たりにした。

 

 

〇著者の紹介

 

著者は、歴史小説家の司馬遼太郎氏。

 

・本名は福田定一

・幼少期は読書が大の好み。在学時に韓国・朝鮮人への興味を抱いたのをきっかけに、人間の振る舞いの面白さに目覚める。

・戦後は産経新聞社に勤務し、30歳の頃から小説を書く夢を抱く

・在籍中に書いた小説である「梟の城」で直木賞を受賞し、作家デビューを果たす

 

氏の小説の特徴は、徹底したフィールドワークによる綿密な描写。

史実でありながら、主観・フィクションも織り交ぜて、単なる写し書きにとどまらない彩やかな文章に仕上がっている。

 

本書「梟の城」は、司馬遼太郎氏のデビュー作。

氏にしては珍しく、全体的に固めの文章であり、読み始めた当初は少し困惑した。

しかし、文章にはどこか読む人を馴染ませる力があって、2回目以降はスラスラと読み進めることが出来た。

 

氏は、数々の作中で、”武士”と”忍者”をそれぞれ登場させて、その生き様を対比させている。

作中では、忍者を「世のしがらみにとらわれない”猫”」と表現している。

 

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僕は、「自分の能力を活かして、組織に頼らず仕事をしたい」と常々思っている節がある。

上からの指図を受けず、自分で考えて能力を発揮したい、と。

 

 

しかしこの本を読んで、「”猫”であるためには、仕事そのもの・自分の能力への強いこだわりが必要」だと実感した。

 

忍者は、仕える主君という寄る辺が無い。

そのような中で己を律するために、常識を逸した行を自らに課している。

 

 ・重要な暗殺の前には殺生を一切断ち、真夏に上裸で無数の蚊に食われるままになる

 ・

 

今までの僕は、「組織に頼るのを格好悪い」と漠然と思っていたが、寄る辺の無い職能者はここまで自分を追い込み続けねばならないのかと驚嘆した。

「自分の力一本で生きてみたい」という今までの思いがいかに甘ちゃんだったか、この本で痛感した。

 

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本書は、現代におけるフリーランスの生き方・在り方にも通ずるものがあると感じた。

自分は本当に独力で生きていけるのか。

自分が思い描いている「覚悟」の在り方は、求められるレベルに達しているのか。

 

そんな迷いを持つ独立志向の方に、ぜひ読んでいただきたい一冊である。

梟の城 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社
1965-05-04