ここ一ヶ月ほど、「本質を捉えられており、かつ実際の結果に結びつく考え方とはどのようなものか」と悩んでいた。
答えに近そうな知恵を得るべく、数多くの本にあたってみた。

その結果、以下の3冊が非常に役だった。


①考える技術 大前研一 講談社文庫
「考えるとは、頭で立てた仮説を現場に出て確かめるまでを指す」という考え方がブレイクスルーだった。
「現場に出て確かめる」をどのくらいの力加減で行えばいいのか。
書かれていた内容から類推するに「頭で1日→現場で1ヶ月」というスケールだった。

「フィールドインタビューは、全国をぐるっと回って一ヶ月ほどかかる(本書P29)」

今までの僕は、頭で1日考えて、現場で1日やってみて、程度のスケール感だったので、現場で動く割合の大きさにビックリした。


この本を読んでから、私も研究所でとにかく実験系をつくって試すことにした。
すると、文献を基に立てた仮説が思った以上に確度の低いことが分かった。
僕は自分の考えの80%は合っているだろうと考えていたが、実は20%程度しか合っていなかった。

頭だけで考えるのは実に危険だと思い知ると同時に、フィールドワークするとその場に応じた最適解に自ずとたどり着くという実感を得た。

考える技術 (講談社文庫)
大前 研一
講談社
2009-03-13




②武道的思考 内田樹 ちくま文庫
上で述べた「フィールドワーク」を自身の身体でやったのが、この書籍の内容だ。
「身体技法は、人間の身体能力のうち計量可能なものだけを選択的に発達させようと考える時に衰微する(本書P50)」という一文が心に刺さった。

定量的にしようとすればするほど、身体は柔軟な対応力を失い、滑らかな球だったのがブロック状の固まりになる。
ブロックの角を細かく細かくして球に近づけようとするのが現代スポーツのあり方だが、真の滑らかさには到底及ばない。

思考もそれと同じで、頭に浮かぶものだけを選択的に集めても完璧には程遠い。
「今ここ」にある暗黙知的な生の情報に触れることこそが思考だと気付かされた。

武道的思考 (ちくま文庫)
内田 樹
筑摩書房
2019-04-10



③竜馬がゆく 司馬遼太郎 文春文庫
坂本竜馬が維新をなしとげるため、各国を行脚して回る様子が描かれている。
黒船をその目で見て、幕府の情けなさも実際に体験して、そこから練り上げた「維新論」は、机上の空論に留まらない説得力があった。

竜馬が各藩の勇士を集める際も、身の上を他人から聞くだけでなく、
・実際に人となりをその目で見て
・その藩の城・城下町・宿場の人々の活気を見取って
ほんとうに勇士足るかを判断しつづけた。

「この当時の高名な勤王の志士というのは、すべてこれである。吉田松陰も、清川八郎も西郷隆盛も桂小五郎も、そして坂本竜馬も、しきりと諸国を歩き、土地の見どころのある人士と会い、中央地方の情勢を伝播し、全国の同士を一つの気分と興奮に盛り上げていっている。要するに、史上名を残した志士というのは、足で取材し、足で伝播した旅行家ということになる(2巻P347)」

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僕は上記の3冊から「本当に考えるとは何ぞや」を学ぶことができた。
何かを深めたいと思う方々には、是非一読をお勧めする。
必ず得るものがあると自信を持って言える。