この体質を知ることになったきっかけは、会社の健康診断だ。
血液検査の結果、筋肉の分解度合いを示すマーカーが上限値の3倍程度の値だった。
そして、肝臓と腎臓に過度な負担がかかっていることも分かった。
産業医の方には、「このまま運動すると、近いうちに運動できない身体になっちゃうよ」と真顔で言われた。
すごくショックだった
その直後。
帰省した際、母親に持病があることが明らかになった。
病名は伏せるが、一言でいうと、「筋肉を分解しやすく、人より2倍疲れやすい体質」なのだそうだ。
確かに、ここ最近の母は異常に痩せていた。
そして、一人では電車に乗れないくらいには疲れやすくなっていた。
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それから、勤務先の病院で精密検査をしてもらった。
その結果、やはり「筋肉を分解しやすい体質だ」と言われた。
このような、筋肉の分解しやすい体質・疾病のことを「サルコペニア」というらしい。
本来は老齢者の筋肉弱化を指すことから、僕のような若者には「若年性サルコペニア」という名前が付くとかなんとか。
ちなみに、僕の身長と体重は、176cmの50kg。
BMIは16.1だ。
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この結果を聞いたとき、どう思ったのか。
正直言うと、ほっとした。
今まで、頑張ってトレーニングしたのに予想をはるかに下回る結果しか出なかったことが多かった。
中学では剣道をやっていたが、毎日倒れる寸前まで稽古漬けになっても、公式戦では3年間でただの1勝もできなかった。
高校の800mでは、先生に「あれだけ頑張っていれば、もっと速くなると思ってんけどな」と首を傾げられたのがすごく印象に残っている。
身体の使い方が下手だとか、センスが無いとか、色んな理由はあると思う。
しかし、「これだけやっても強くならない・速くならない」に、客観的根拠らしきものが1つ与えられたことは、この上ない救いになった。
「他の人はあれだけ速い。だから自分もその速さに追いつくべく、頑張らないといけないんだ」という縛りから解放されたように感じている。
「病気なんだからしょうがない」という逃げ道。
「あ、人並みのレベルまで速くなるのを、諦めていいんだ」と思えるようになった。
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できる範囲でトレーニングを続けていきたい、というのが、今の僕の率直な気持ちだ。
競技者の平均レベルまで速くなる・強くなることはできないかもしれない。
何年続けても、初心者にさえ抜かれるレベルにしかならないかもしれない。
でも、それでも、僕はトレーニング・練習を続けたい。
自分の身体を磨き、少しでも速くなる。
その過程をひた歩くのと、結果がどうだったのか見るのが、この上なく好きだからだ。
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