【前回の記事:1日5分のリスニングだけでTOEICを受けてみた。結果の分析①】
今回は、TOEIC結果に付属の「項目別正答数」のグラフを基に、少し突っ込んだ分析をしてみる。
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〇項目別正答数
① 短い会話における全体の推測力:75%
② 長めの会話における全体の推測力:87%
③ 短い会話における詳細な理解力:80%
④ 長めの会話における詳細な理解力:76%
⑤ 話し手の目的の理解力:60%
直近の6か月間でリスニングしたのは、1フレーズ集のみだった。
しかしながら、リスニング②にみられるように、長めの会話への対応力がついている。
実際にテストを受けた感じでは、「100%正解だと胸は張れないが、80%程度確からしいだろう」といったところ。関西弁で「多分これやろう。知らんけど」レベルの自信。
1フレーズの繰り返しでも、TOEICレベルの会話であれば長短関係なく聴きこなすだけの地力はつくと言えそうだ。
一方、リスニングの弱点として、話し手の意図(文脈)をくみ取る力が比較的弱い(リスニング⑤の得点率が低め)。
これは2つ原因があると思っている。
1つ目は、「1フレーズにはそもそも『文脈』がない」ことである。
無機質な英文をいくら読んでも、血の通った人間が繰り広げる「ああしてほしい」「こうしてほしい」を感じ取ることは難しいだろう。
2つ目は、「ながら聴きでは洞察まで行きつかない」こと。
直近6ヶ月のリスニングは、全て会社の通勤中に歩きながら聴いていた。
歩きながらのリスニングでは、人にぶつからないだとか躓かないようにするとかで、前方や地面に気を配る必要がある。
するとどうしても話の内容に入りびたることができない。
感覚の触手を伸ばすことができないのだ。
結論としては、「1日5分の1フレーズ聴き流しでも、1つの長文を聴きこなすだけの力は付く。ただし人の思惑が入り混じる場面で機微の効いた対応ができるだけの力は付かない」といったところだろうか。
リーディング
① 文書中の情報を基にした推察力:70%
② 文書中の具体的な情報の発見・理解力:80%
③ ちりばめられた情報の関連付け力:87%
④ 語彙の理解力:88%
⑤ 文法の理解力:80%
まず目につく点としては、「リーディング④:語彙の理解力が高い」ということ。
これは1フレーズ集を繰り返し聴くことで、日常生活で使われる基礎的な単語が自然と網羅されたためと思われる。
英単語帳に乗っている1フレーズは、「覚えたい英単語をなじみ深いものにするためのもの」と思われがちだが、それだけではなく周辺の英単語も吸収できるメリットがある。
加えて6か月間同じ1フレーズ集を聴いたことで、記憶の深層に定着して無意識に引き出せるようになったのだと思う。
意外だったのが、リーディング③にみられるように「情報を関連付ける能力が高い」ということだ。
これはリスニングで「主語を覚えておく」ことが役立った可能性が高い。
リスニングでは「だれが→なにを→どうした」の順で音声が流れていく。
一度流れた単語を後戻りして確認することができない。
よって、1フレーズといえども単語を紐づけする能力が必要となる。
「last quarterに最高収益を出したのはTom's companyだ」と。
この「単語の紐づけ力」、言い換えれば短期記憶力が、文章を読む段階でも発揮されたのだろう。
リーディングの弱点としては、リーディング①にみられる「情報を基にした推察力が低い」ことだろう。
これは先のリスニングの反省点と同様のことがいえる。
もともと無機質な1フレーズを使って、推察力を鍛えることは難しい。
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最後に、教材についての分析をしておく。
私の使っていた英単語帳は「TOEIC(R)L&RTEST英単語スピードマスター」である。
良かった点
・多彩な声色や訛り(アメリカ英語、イギリス英語...)が含まれている
・話すスピードがTOEICテストよりも遅く、英語の基礎固めにちょうど良い
・1フレーズが比較的長くてトレーニングになる
悪かった点
・状況が「ビジネス」「日常会話」の2つしかなく、やや応用性に欠ける
・TOEIC本番で使用しないだろう単語が頻出する
「TOEIC(R)L&R TEST英単語スピードマスター」は、確かに良い教材だった。
ただ、ある程度英語慣れした人向けという印象を受けた。
また、本書に収監されているビジネスの場面は、実際に仕事をして初めて理解できることが多い。
なので、半年以上の社会経験があり、かつ英語に抵抗感の少ない人には、上記参考書は非常にためになると感じた。
最後に、今回のTOEIC対策の総括。
一番の肝は「継続した」ということだと感じている。
1日5分が難しければ1分でもいい。
妥協しても継続を取るべきだ。
私自身、休日は英語の勉強をする気が起きなかったのでやらなかった。
平日も、朝の5分以上は時間を取りたくなかったので、英語の学習時間を増やすことはしなかった。
私の一経験が、英語学習に悩む方々の一助となれば幸いである。
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