エッセンシャル思考、というものを試している

エッセンシャル思考とは何ぞやというと、「やることを最低限に絞り、100%の力を注ぎ込む」という考え方。

こんな本が出ていて、表紙のカッコ良さに惹かれて衝動買い。

読む中で「完璧な選択など無い、あるのはトレードオフのみ」「何が上手くいき、何が上手くいかなかったか観察し続ける」「小さな前進を継続する」など、たくさんの良い言葉に出会えた。


しかし、本を読んで良い気持ちになったものの、実際に試してみると、意外な苦痛を感じた。

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エッセンシャル思考の実践で必要なことは「絞ったことにとことん力を注ぐ職人気質」だと痛感した。

エッセンシャル思考に則り、やることを絞ると、時間ができる。この時間を、絞った少数の物事に振り分けることで、収率が高まる。


実際にやってみると、「少数の物事に時間を多く割く」というのは、サボリ心との闘いだった。

私たちには、1日当たり合計100点が振り分けられている。

今までは、10個の事柄に10点ずつ振り分ければよかった。

しかし、やることを5個に減らすと、各々に振り分けるべき点数は20点へと上がる。追加点を引っかけるフックを新たに見出さなくてはいけない。これがなかなか見つからず、焦る。

エッセンシャル思考を実践すると、足切りラインの底上げが強く求められるのだ。今まで10点で済ませていたのを20点まで引き上げるには、コペルニクス的転換を要する。

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しかし、おぼろげながら、足切りラインを底上げする着眼点が見つかりつつある。

「タスクの不確定要素を広く見積もる」「タスクに対する分解能を上げる」の2点だ。

これらの着眼点に気付いたのは、昨日の失敗があったから。

昨日、サンプルの試験片を作製し、その弾性率を測定する、という実験があった。

ここで、2つミスをかました。

1つ目は、試験片が上手く作製できなかったこと。サンプルの膜厚が薄すぎて、予想したようなきれいな試験片が出来ず手間取った。

2つ目は、測定機器に使用予約が入っていたこと。予約者に無理を言って、1時間だけ空けてもらった。


1つ目のミスは、「試験片の作成に失敗するかもしれない」というタスクの不確定要素を見積もりきれなかった。

2つ目のミスは、「測定機器を使用する前に予約を入れる」というタスクの工程の見落とし。


「タスクの不確定要素を見積もれているか?」「タスクの各工程を把握できているか?」と自問すべきだった。


では、この失敗をする前日の私は何をしていたか?


…「早く終わったぞ、しめしめ」と、定時ダッシュをかましていた。

つまり、タスクの総量を減らしたはいいものの、残ったタスクの質が以前のままだった。そこに潜んでいたのは、「これくらいの質でいいだろう」というサボリ心だった。

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点数を引き上げるのに必要なのは、こだわりの力だと感じる。

研究職は、結果が出せなくともある程度食べていけてしまう職種。ToDo的なやることは、他職種と比べれば少ない方。画期的な考えを生み出すには余裕が必要なので、あえてやることを減らしている研究所も多い。

やることが減ると、凡人には「ただのぬるま湯」になってしまう。

ぬるま湯の中でキラリと輝くには、仕事の価値を自らの手で高める積極性が必要だ。

完成ラインにあると思っている事物に手を加えようとすることは、想像以上に大きなエネルギーがいる。小学生向けの漢字ドリルを2時間見直し続けるようなものだ。

エッセンシャル思考を正しく実践できていると、楽どころかしんどく感じるはず。やることが減って楽になった!と浮かれているようでは、まだまだ道半ば。

自戒の意を盛大に込める。